今年レビューした小説一覧は
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四半期ランキングTOP5のまとめは
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四半期ランキングのまとめでも触れましたが、今年の小説で面白かったのは、
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世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ)
万人におすすめできる名作ライトノベル。
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「お前ごときが魔王に勝てると思うな」とガチ勢に勇者パーティを追放されたので、王都で気ままに暮らしたい
「勇者パーティから追放」ものに偽装した、ホラー百合小説。作者の趣味が満載!
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ジェノサイド・オンライン 〜極悪令嬢のプレイ日記〜
「おすすめ」にはしていません(2019/2におすすめに上げました!)が、狂気が滲み出る快作。こんなにライトな残虐作品は初めて見ました!
今年は去年ほど数を読んでいないこともあり、こんなところです。「ジェノサイド・オンライン 」は現在なかなか楽しみに読んでいます(毎日更新も嬉しい!)。
あとは「
ライブダンジョン!」の再度の盛り上がりに感動したのが印象的。「おすすめ」にはしていませんが、「
シャバの「普通」は難しい」の第二部第三部も良かったです。
ところで今更なのですが、当時触れよう触れようと思って触れなかった「
二度目の人生を異世界で」問題には触れておきます。これは序盤しか読んでいないのですが、同作者の「
食い詰め傭兵の幻想奇譚」は読み続けている関係上、触れねばいけないとは思っていました。
まいん作「二度目の人生を異世界で」はアニメ化が決まっていましたが、作者が過去(デビュー前)にTwitterでヘイトスピーチをしていたためにアニメ化が中止、さらに単行本の出荷が停止されました。ヘイトスピーチに関していうと、確かに問題のある発言だったようです。とはいえ、アニメ化中止だけならまだしも書籍化作品の出荷停止までするのはおかしい。たとえば、百田尚樹さんなんかはもっと酷い発言を繰り返してますが、出版停止にはなりませんよね。
ただこの件については、作者の
活動報告にもある通り、内容に問題があった、という話もあります。具体的には、この主人公が南京事件に関わっていたとも取れる。民間人を虐殺したような人間を主人公に据えて良いのか? という問題です。
その部分だけを引用すると、
「その後、世界大戦に従軍。
4年間の従軍期間中の殺害数は3712名、全て斬殺。」
とあります。(その前後はWebキャッシュなどから読めます)
私は以前この部分を読んでいました。戦争中とはいえたくさん人を殺害した人間を主人公にする必要があるのか……と嫌な気持ちにはなったことを覚えています。が、南京事件を想起はしませんでした。
どちらかというと、漫画「魁!!男塾」の江田島平八なんかをイメージして読んでいました。世界大戦というと、まずアメリカでの戦闘を思い浮かべますよね。
Wikipediaの江田島平八の頁に、「その活躍ぶりは太平洋戦争終結期のアメリカ大統領にも「EDAJIMAがあと10人いたらアメリカは敗北していただろう」と高く評価された」なんてありますが、そういう活躍をしたんだろうな、と。
また、作者の政治主張は知らないのですが、作者がネット右翼だとしたら、多くのネット右翼が「南京事件で虐殺はなかった」と主張しているイメージがあったので、民間人を虐殺したような人間をあえて主人公にするだろうか? と。(この部分は仮定に仮定を重ねているので、まあ妄想ですが)
なので、これは言いがかりなんじゃないかと思っていました。
ですが、う~ん。
他の方のブログ等を読むとそこそこ説得力のある意見もあります(その意見を支持しているわけではないので、具体的に引用はしません)。本当に作者が南京事件を意図していたかと言われると今でも疑わしいと思っているのですが、確かにこれは、「南京事件を人に連想させるような記述」なのだと思うようになりました。
アニメ化中止は、スポンサーとの関係など色々あるため仕方ない面もありますが、書籍の出荷停止までする必要があったとは思っていません。しかし、南京事件を正当化していると取られてもおかしくないような記述を書籍に残したというのは失敗(作者の、というよりは編集サイドの)だったと思っています。
書籍の出荷を停止したのに電子書籍は販売されているらしいし、出版社としても扱いに困っているんだろうと思います。まあ、炎上への対策は難しいし、困っているのでしょう。
とはいえ、作者に責任を押し付けるのでなく、編集や出版社がきちんと責任を取って欲しいとは思います。
1. 無題