(~31、第一部完結済)
現在月間ランキング三位、「
無欲の聖女(旧題:無欲の聖女は金にときめく)」で有名な中村颯希さんの新作。
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監獄で生まれ、囚人仲間から非常にハイレベルな教育を受けた主人公が、王宮付きの侍女となるが、シャバのレベルが分からず騒動を巻き起こす勘違いもの。「無欲の聖女」で見せた勘違いものの上手さがこの作品でも光っています。
とても面白く、文章は達者。内容もよく纏まっています。(将来多分書籍化するのでしょうが)文庫本を買って読んだとき「損した」と思う人はまずいないでしょう。欠点も見つかりませんでした。
魔族とかドラゴンといったファンタジー用語は出さなかった方が「勘違い」を強調できたんじゃないかな……と個人的には思いますが、それも「なろう」読者に合わせたのかもしれません。
というわけで、完成度が高く面白いのですが、ちょっと手慣れ過ぎているかな……という気もしました。「なろう」の小説ならもうちょっと実験的な要素があった方が個人的には嬉しい。この作品のように、そのまま書籍で読んでも何の違和感もない作品というのは最初から書籍でいいんじゃないかな、とも。最初から最後まで纏まり過ぎていて、「無欲の聖女」にあった熱量がない気もしました。
ただ、綺麗に終わっていますが、せっかく立ったキャラクター達や面白い設定があまり活躍しないまま完結してしまっているので、書こうと思えば続編も書ける終わり方だと思います。このまま物語が続いたらさらに面白くなりそうなので、そこに期待します。
2018/5 追記:実際、続きましたね。第二部も面白かったです。良くも悪くもプロットがしっかりして抑制がきいている印象。