(~39、最新話)
現在月間ランキング五位、「
魔王討伐したあと、目立ちたくないのでギルドマスターになった」などで有名なとーわさんの新作。
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所謂、外れ○○もの。
「外れ職業を引いたけど……」「外れスキルだったけど……」という作品は「なろう」に多数あるが、この作品は外れの精霊と契約したという話。ただし、主人公が契約した植物の精霊は、学院では不遇だが実用性は十分。主人公自身も劣った精霊と契約したとは思っていないのはやや珍しいか。
その主人公は精霊医の資格を持っており、王女付きの軍医として前線に行くことになる。なお、その軍には女性しかいない。また、幼馴染の少女がついていくが、男装しているため主人公は気付かない。
というようにやや無理矢理ハーレム展開に持ち込んでいるのだが、展開が早いこともあって一人一人の女性について語る分量が減ってしまっており、印象に残りにくくなってしまっている。また、せっかくハーレム設定なのに、主人公の女性への興味が少なすぎないだろうか。
ただ、個人的に一番問題と感じたのは、主人公が万能過ぎること。主人公は精霊医の資格を取ってはいるものの、医者を目標としていたのではなく実地での経験もないはず。それなのに、医者として能力が高すぎ、他の場面でも冷静で優秀。自分の精霊の使い方も非常によくわきまえている。
「魔王討伐したあと、目立ちたくないのでギルドマスターになった」の主人公を思い起こさせるが、あちらはそもそも主人公が非常に優秀という設定の話。こちらは、学院の中では優秀という設定とはいえ、一介の学生である。ちょっと無理があるのでは?
そして、主人公が優秀なのと、展開が妙に早いせいで、一つ一つの事件が妙に盛り上がりに欠けていると思う。設定は面白く、主人公らの精霊が不遇だという理由も良くできているとは思ったが、全体的にどこか急いている印象でもったいなかった。
なお、この小説は一話の分量をやや少なめにしている模様。個人的にはこれくらいの分量が好きなのだが、そのせいで語るべき内容を省いてしまっているとしたら問題だと思う。