以前
レビューした「ウロボロス・レコード」の書籍版三巻を読んだ。
内容は、
原作でいう「エルフの里編」+後日談。020~025の部分に大幅な加筆が施してある。
きちんと比較したわけじゃないけど、ネット版より文章は整っているし、内容に厚みは増している。が、今回の加筆については一概に良かったと言っていいのか疑問も残った。
まず、戦闘シーンが丁寧に描かれている。迫力もあるし読んでいて面白い。だけど、概ね結末の見えている(初読でも結果は推測できる)戦闘シーンを重くすることに意味があったのかはよく分からない。良し悪しあると思う。
また、今回、この部分の主人公ともいえるバーチェが罰を言い渡されるシーンが新たに追加されている。バーチェに感情移入させることが主な意味だろうけど、そのせいでちょっと残酷な話になり過ぎているような気も。まあ、それがこの小説の売りではあるのだけど。
そして個人的に一番疑問だったのは、ここでバーチェの幼馴染のチャーガが新しく魔法を使えるようになった理由が書かれているのだけど……。この追加って必要あったのかな?
バーチェがチャーガと仲違いした理由がネット版では弱いと思っての判断かもしれないけど、このせいで読者のチャーガに対する心象が悪くなってしまう。チャーガに対して勘繰らせることはこの後の展開では必要ないと思う。特に、この二人に関するクライマックスシーンを衝撃的に演出するためには、ここはない方が良かったんじゃないだろうか? ちょっと疑問に感じてしまいました。
批判的なことを書いてしまったけど、この小説が面白いのは間違いないし、今後も期待しています! 一旦完成された作品に加筆するっていうのはなかなか難しいなぁ、と感じてしまった次第です。