(~48、最新話)
昨日に続いて「
異世界転移~命が『たった一つ』しかない異世界で、最強の『最弱職:コレクター』が行く神器探しの旅~」で話題の月島秀一さんの作品を。これは既に書籍化した作品です。
https://ncode.syosetu.com/n5543du/
主人公である頭のおかしい勇者が、魔王討伐後に処遇が悪くなりそうなことを嫌い、天界を裏切って魔王側につく話。
……というようなあらすじがほとんど無意味に思えるような、パロディ多めで超展開のギャグ作品。なお、天界、魔王など刺激的な単語を使ってはいるが、ただの二国間での抗争でしかなく、主人公は確かに頭がおかしいが、作中(特に天界側)にはそんな人間ばかり登場している。
テンポは良い方だと思うが、えんえんとお馬鹿な展開が続いていくので、ちょっともたれてしまうのは仕方ないか。小説としては厳しいけど、これが、一話四ページの漫画だとか、五分アニメだったならそれなりに面白い息抜きになったかもしれない。
アーススターはそれをイメージして書籍化したのかな、とも思える。
そして、話がダレてきた第一章を強引に終わらせ、書籍の宣伝目的で始めたと思われる第二章では別の世界へ舞台へ。そこで全く今までと関係ないストーリーを始める強引さは見事。書籍の宣伝が終わると、新連載の宣伝目的としか思えない短文での更新しかしなくなっている。読者としてもこのまま話を続けられても困るところだと思うし、引き際を心得ていると感心する。
ちなみに、第二章は「王選編」のはずなのに、その選挙(?)については今までほとんど語られていない。この王戦という単語は「リゼロ」を意識したものだよね。ちょっと「リゼロ」っぽいシーンもあったし。
と、まあ、月島秀一さんの作品を三作読んでみると、パロディ好きな作者さんで、オリジナリティのある世界を創ろうという気持ちはほとんどなさそうなことが分かる。そういう作風・芸風なんだと思います。
「異世界転移~命が『たった一つ』」に関して、「このすば×Elona」だけでなく、漫画「HUNTER×HUNTER」との類似性を指摘するものも見たけど、これも意識的にやっているんでしょうね。他の作品でも「HUNTER×HUNTER」ネタを何度か見たので。
「異世界転移~命が『たった一つ』」のパロディ方法(もしくは、パクリ方)は他二作品と特に変わっていないと思う。ただ、「天界に裏切られた最強勇者」と「転生者殺し」が、ストーリーを軽視した、ギャグ、パロディ系統の作品なことは読めば明らかなのに対して、「異世界転移~命が『たった一つ』」は一応ストーリーがあるため、パロディが問題視された、ということなんでしょうね。