(~30、「童顔の剣聖」まで)
現在四半期ランキング十位の作品。
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異世界転移もの。
神様に最強を願ったら、転移先の世界で仙人を紹介され、仙人として最強になるというというストーリー。森の中で500年の修行後、近くで赤ん坊を拾ったため一旦修行を休止。王都へ出る途中で知り合った貴族のお嬢様の護衛として雇われる。その後、お嬢様が通う学校へついていき、同じ転生者と決闘したり、学園生活を送る。
今「なろう」で流行りの「おっさん」ものと似た設定と言えると思う。
「おっさん」もののおっさんは、(強い場合とそこまで強くない場合があるが)自分の力量を自覚し、不相応な目標は持たず、無駄に自慢などせず謙遜し、他人の生活を侵犯したりせず、穏やかに暮らしている……多少の差はあれ、大まかに言ってこのような特徴を持っている。これらの特徴は、この作品の主人公である「仙人」とも共通していると思う。むしろ、「おっさん」ものの発展形と言えそうだ。そんな主人公と、わがままお嬢様の組み合わせが面白い。
主人公の「地味」要素はストーリー上そこまで重要ではないが、わがままなお嬢様との好対照を際立たせるのに役立っているか。ただそのせいで、根本的に戦闘シーンが迫力あるものになり得ないという問題も生じてしまっている。
と、設定は面白いし、登場してくるキャラクターは立っている。あまり盛り上がっている部分はないが、落ち着いたストーリー進行には好感を持った。
だが、「童顔の剣聖」章後半、貴族たちの関係などに焦点が当たると、登場人物も増えてちょっと分かりにくくなってしまったと思う。
また、文章面で分かりにくいところがあると感じた。誰の発言か、もしくは誰の視点か分かりにくい部分が散見された。序盤は良くても、登場人物が多くなってくるとやや読みにくく、テンポが悪くなっている。
色々と見所はあるのだけど、全体としては今一歩という印象でした。