(~22、完結済み)
一昨日完結した作品。「
無欲の聖女」「
シャバの「普通」は難しい」の中村颯希さんの新作です。
https://ncode.syosetu.com/n9193fc/
事故で義父を失った女子大生の主人公だが、義父から地獄へ連れていかれそうになったのを妨害し、共に地獄へ落ちてしまう。そこで、義父への沙汰を変更させるため、獄卒達の胃袋を掴もうと、拷問器具を調理器具として使って慣れない料理に励む。
……改めて、作者が書いたあらすじを読みつつまとめてみると、凄く面白そうですね。魅力的で、読者に読みたいと思わせる設定だと思います。
中身も、中村颯希さんなので当然ですが、上手い(ただし、上に挙げた作品のような勘違いものではないので注意)。
主人公は魅力的だし、義父との関係もしっかり上手く描かれてある。地獄の様子や獄卒たちの性格も面白い。
ただ、今回は終盤シリアス展開でまとめてあるので、そこは好みが分かれるところかもしれません。上手くまとめているのは間違いないし、そこでぐっときた人なら、文字通り笑いあり涙ありの作品として読めると思います。
そのあたり、残念ながら私は乗れなかった。ちょっと強引な展開な気がして冷めてしまいました。
シリアス展開に乗れるか、というのが一つ。あと今回は、設定は奇抜ですが、ストーリーの流れには捻りが少ない気がします。童話のように綺麗に纏まっている印象。それに満足できるか……というあたりで評価が変わってくる気がします。
私はやや物足りなさを感じてしまいましたが、他の作品に比べて出来が落ちるわけではありません。十分優れた作品だと思います。
ところで、エッセイで作者が女性と明かされましたが、私は結構驚きました。いや確かに、纏め方の上手さなどに女性的な印象を感じなかったわけではないのですが、とはいえ男性作者だろう、と思っていたので。「無欲の聖女」の元ネタの「
夜伽の国の月光姫」の印象があったせいかなぁ。……え、こっちの作者は男性ですよね?