(~40、最新話)
「
異世界転移~命が『たった一つ』しかない異世界で、最強の『最弱職:コレクター』が行く神器探しの旅~」で話題(?)の月島秀一さんの前作。八月ごろに週間ランキングに入っていました。書籍化も決定しているようです。
まだ十万字に達していないですが、新作を連載中でこちらは中断しているようなのでレビューを。
https://ncode.syosetu.com/n8435ed/
異世界転生、スキル強奪もの。
異世界から転生した人間がチート能力を持つという世界に転生した主人公は、他人のチート能力を奪うチートを持っていた。
どこかで見たようなシーンばかりで構成されたパロディ風小説だが、序盤は悪くない。外道な主人公が自分勝手な論理を振りかざして、転生した先の村を救うという展開は上手く書けていると思った。
またその後、主人公のチート強奪能力が期間限定(奪った後しばらくしたら消える。返却されるわけではない)だったせいで、二つの国から追われることになるという展開も、やや強引ではあるものの面白い。
だが、その後(20話を過ぎたあたりから)は完全に行き当たりばったり。
いい加減な主人公のせいでいい加減な展開になっている部分もあるが、突然アイドルが出てきたり魔獣と戦闘になったりと、手近な面白さに活路を求めて失敗している印象。展開が唐突な上、パロディとしても滑っていると思う。
主人公の能力が期間限定というのは面白い設定だと思うのだが、後半ではチート自体ほとんど使っていない。物語の軸がなくなってしまっている。そもそも、「転生者殺し」なんて煽情的な題名なのに、誰も殺すわけじゃないのも、タイトル詐欺に近い。
「異世界転移~命が『たった一つ』」と比較すると、こちらの方が、主人公が不快なため読むのがきついこと、行き当たりばったり感が強いことのせいで、一段出来が落ちる印象。もし、「異世界転移~命が『たった一つ』」の主人公が落ち着き、物語がある程度纏まった原因が「このすば*Elona」にあるのだとしたら、上手い題材を選んだと思う。
ところで、この小説は「異世界転移~命が『たった一つ』」以上にパロディ要素が強いと思うのだけど、色んなところから取ってきているってことで良いんですかね。主に参照した作品、というのはないんでしょうか。
特に、あらすじのヒロインA・Bのセリフはいかにもどこかで見たようなセリフだけど、具体的な元ネタはないのでしょうか? さっき調べたのだけど、よく分からなかった……。
ところで、この小説はまだ十万文字にも達していないのに書籍化決定し、その後更新が止まっているんですよね。出来が悪くても書籍化している作品はたくさんあるのでそこは気にしませんが、この文字数で書籍化できるのは不思議。書籍版で続きが読めるということなのでしょうか?
こんな中途半端なところで中断されたら、書籍化しようと思った方も困ってしまうと思うのですが。