(~67最新話、第一部終了まで)
現在月間ランキング五位の作品。「RPGっぽい異世界でだらだら冒険者生活する」という書籍化作品もあるいかぽんさんの作品。
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魔術学院を首席で卒業した非常に優秀な主人公が、父親との軋轢もあって(軋轢の原因はまだ語られていません)一人立ちできる冒険者という職を選び、少女三人とパーティを組んでクエストに取り組む。
しっかりした文章で読みやすい。
「なろう」で定番の冒険者になる展開だが、最初に簡単なクエストを提示し、次のクエストから本格的な物語に入っていくという書き方は上手いし、書き慣れているように思えた。個人的な印象としては、(残酷な描写があることも含めて)「
食い詰め傭兵の幻想奇譚」に近い。
主人公が優秀なだけでなく、パーティメンバーが皆優秀というのがやや珍しいか。冒険者になりたての主人公はともかく、他のメンバーも優秀なのは若干違和感があったが。
第一部では、二つ目のクエストから本題に入り、そこから関連したクエストが続いていく。一つ一つの話はしっかりしているのだが、全体の流れに関してはちょっと引っ掛かるところがある。いわゆる、冒険者っぽいクエストから話が始まったのに、後半では、伯爵家の秘密を探るような内容になっており、ストーリーの質が大分違う印象。
こういう構成にしたのは、主人公の父親を登場させたかったというのが大きいのかもしれない。ここで父子関係をかなり強調したのを見ると、冒険を題材にしているが、最終的には父子の確執方面がメインになってきそうである。そのせいか、「冒険」というワクワク感が薄れてしまっているのは気になった。
それ以外では、第一部の敵(二人とも)の行動が、動機と釣り合っていない気がしたのも不満。プロットに合わせて、ちょっと無理をして物語作りをしている印象は否めない。
批判ばかりしてしまったが、細部に粗はあるものの面白い作品だと思う。ここまで張られている伏線がまとまってくれば、もっと面白くなりそうなので、続きも読むつもり。
なお、感想欄を見ると、パーティメンバーの一人にイライラしたというコメントが散見されたけど、私は特に気にならなかった。それほど特殊なキャラ付けではないと思うのだが、職とのギャップに戸惑ったのだろうか。