(~45、第二幕まで読了)
2024年12月から四半期ランキングTOP5入りし、現在四半期ランキング一位の作品。
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無為な人生を悔いて亡くなった主人公が騎士爵家の三男に転生する。そこは、封建社会の時代が長く、民主主義や平等などという思想はないような社会だった。その世界で主人公は優秀なスキルを得る。それを使って、愛してくれている家族に報い、国と民のために生きようと決意する。
文体が特異な作品で、非常に読みにくい。
特に空白の使い方が独特で、句点の後には必ず空白を挟んでいる(それ以外にも、普通は入れないところで空白が入る)。英語で、ピリオドやカンマの後にスペースを入れるのを意識しているのかとも思ったが、読点の後には入れていない。何か効果を出そうとしているのだと思うが、私には読みにくくなっているだけに思えた。
語彙もやや独特。「為人(ひととなり)」など、普段あまり目にしない表現が見られた。ただ、文語体というわけではないし、常時、格調高く書かれているかというとそういうわけでもない。古めかしい文体の途中で軽薄な(ライトノベル的な)表現が混じることも結構あり、違和感があった。
また、基本的に主人公の一人称視点が貫かれており、人物名を登場させないという書き方も変わっている。
(なお、このブログでも人物名はあまり出さず、人物は作中の役職などで表現するようにしています。そのあたりはちょっと似ているかもしれません)
さてストーリーだが、第一幕では、スキルがあると分かった主人公が魔法学院に入るという内容。その際に婚約するが、婚約者が悪役令嬢のような動きをするのを陰で眺める。
悪役令嬢の婚約者という当事者であっても良い立場の主人公が、傍観者として悪役令嬢もののストーリーを見守る、という内容は捻りが効いている。主人公一人称視点で描いていることが生きていると思う。
それに比べると、学院で勉強した内容や前世の知識を使って実家に貢献していくという第二幕はストレート過ぎたか。
ただ、全体的に、物語があっけなく収束するのが気になった。主人公の思考や発言はそれほど説得力があるものとも思えないのに、概ねその通りに進んで行く。そのあたりにも違和感を感じた。
良い部分がないわけではないのだけど、欠点も目立つ作品。私はどうしても空白の入れ方に慣れなかったけれど、そこを受け入れられる人なら面白く読めるかもしれない。
しかし、「小説家になろう」でこんな読みにくい作品がランキングを上がってくるのは珍しいねぇ。