(~39、最新話)
現在四半期ランキング二位、ランキング常連の三木なずなさんの作品。
https://ncode.syosetu.com/n1624fi/
皇太子に転生し、恵まれた環境・能力・知性を持った主人公が、様々な問題(内政的なものが多い)を軽々と解決していく、大体一話完結形式の小説。
このブログでこの前レビューした「
俺はまだ、本気を出していない」に続く一話完結形式だが、この形式が三木なずなさんに合っている気がする。省エネで、深い内容は一切含まないけれど、一定の面白さ、読みやすさを維持している作品という印象。テレビドラマ(時代劇?)みたいというのかな。ワンパターンの安心感がある。
貨幣価値がおかしい、とか皇帝が主人公に対して甘すぎる、といった批判もあるようだが、そのあたりはあえて大袈裟に書いていると思えば結構楽しく読める。練った設定が売りの作品ではないので、いくつか設定で変なところがあっても、フィクションらしい誇張と受け入れて読めば悪くない。
多くの最強もののように、主人公が自己主張し過ぎることもないし、敵役を完全な悪として描く訳でもない。極端なことは書かず、それなりのバランスを取って書いているのも読みやすさの一因になっていると思う。
それでいて、ワンパターンの中で少しずつ物語が動いている、といったあたりに楽しみがある。
正直なところ、私は三木なずなさんにあまり良い印象を持っていないけれど、読む前の予想より大分良い出来だったと思います。
深みはないし、面白いか、と言われると返事に困るところではあるけど、三木なずな省エネ作品の一つの到達点なのかな、とは思いました。