(~45、最新話)
現在四半期ランキング三位の作品。
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主人公は、英雄だった祖父に憧れ最強の探索者を目指すが、彼が得たジョブは支援職の「話術士」だった。しかし、個人として最強になることは不可能でも、最強のクランのマスターになることは可能だろう。その目標のため、現実的に、時には冷徹に主人公は行動していく。
なんといっても、主人公の性格がこの作品の魅力。
英雄である祖父の教えに基づいているのだが、金銭にシビアで、裏切り等にも厳しく対処する。人に嫌われることを厭わず、様々な策を立てて、目的を目指す姿勢は面白い。
また、それでいて悪事をなすわけじゃない、というのも良い。
確かに、裏切り者や盗賊らには冷徹に対処する(やや残酷なシーンもある)が、基本的に仲間は大事にするし、正当な報酬は惜しまない。計算高くはある(すごく面白いという程ではないが、そこそこ面白い策略が作中で描かれる)が、悪人じゃない、というタイプの主人公は面白い。
(その辺は、まあ悪人と言うしかない「
ウロボロス・レコード」の主人公とは異なる)
問題があると思うのは、世界設定・世界観の部分。
基本的にはゲーム的な世界設定で、様々なスキルの効果が数字を用いて(「~%上昇」などと)表されているような世界なのだが、あまり平和な世界ではなさそうなのである。盗賊がいて、奴隷制度もあり、裏切りも起こる。その上、悪魔(モンスター)がいて、さらに強い魔王が現れもする。
いや、この世界なら、主人公程度のシビアさは当然なのでは?……と感じてしまったのが正直なところ。作中でしばしば、主人公の冷徹さに驚いている人が描かれているが、作品内の世界状況を考えると、その人達の感覚は平和過ぎる気がする。
恋愛風味の話も描かれるが、これもちょっと平和的過ぎるのでは? ちょっと世界観と合っていない気がしてしまった。
主人公の性格の立て方など大筋としてはなかなか良かったけれど、ちょっと引っ掛かるところもある作品でした。