(~40、最新話)
現在四半期ランキング五位、月夜涙さんの新作
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回復術士である主人公、勇者ケアルは、王女である勇者フレアに薬漬けにされ、意識のないままパーティで利用されていた。正気に戻った主人公は、自分のスキルが進化し、様々な効果をもたらす技に化けていることに気付く。魔王を倒し、心臓を手にした主人公は、その力を使って世界を【回復】させ、復讐のため四年前に戻る。
このあらすじを見ても、色々な要素が詰め込まれていることが分かると思う。チートスキルものであり、時間遡行(やり直し)もの、また、復讐を題材にもしている。「なろう」で人気の題材を組み合わせたこの設定には関心した。
ストーリーはかなり急展開で進み、第十一話でえ王女フレアへの復讐は完了している。若干描写不足のきらいもあるにはあるが、スピーディなのも悪くないと思う。かなり残酷な描写もあるし、後には結構直接的な性描写もでてきたりと、狙って「なろう」の限界に挑戦している雰囲気もある。
まあ、「俺の部屋ごと異世界へ! ネットとAmozonの力で無双する」なんて作品を書いちゃう作者さんだし、炎上も意識してるかもしれないけれど。
王女フレアへの復讐が完了した後、若干トーンダウンした印象は否めない。他のパーティメンバーへの復讐なども残っているとはいえ、一番要の復讐が済んでしまったのだからそれもしょうがないかと。
とはいえ、勢いが落ちていきそうなところで上手く話を繋げていくのは、以前レビューした「
魔王様の街づくり!~最強のダンジョンは近代都市~」と同様。とはいえ、多分、最初に書きたいと思った部分は書き切ってしまったんだろうし、この後はあまり期待できないだろうけど。登場人物に奥行きがないのが問題なのかなぁ……。
作者名で検索すると色々悪い評判もあるけれど、上手く設定を組み合わせて面白いものを作っているし、(特に序盤は)しっかりと小説化しているのは見事だと思う。「なろう」でランキング上位に出てくるのも頷けます。
(追記:「二度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む」を下敷きにして書いたのではないか、という感想を見たので、そちらも読んで
レビューしました)