(~39、火星編 選択まで)
こちらにコメントを頂いたので読んでみました。
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世界規模の戦争が起こり、大量のミサイルが日本へと直撃する直前、日本列島は未知の文明により火星へと転移する。そこで、人間を創造した異星人と出会い、交流が始まる。
という、題名から小松左京を想起させるような「現代SF」なのですが……うーん、現代ものとしてもSFとしてもちょっと残念な出来でした。
まず、「現代もの」。
あえて現代を舞台にする以上、リアリティが重要になると思うけれど、この作品の設定にリアリティがあるとは思えなかった。たとえば、プロローグで、アメリカがすぐに核攻撃を始めるのはまだありうるかもしれないとしても、その後、日本に150発もミサイルが飛んでくる理由が分からない。
火星に転移した後、アメリカ・ロシア・中国に国土を渡すという展開も謎。緊急事態でなぜそういう話になるのか。特に、ロシアや中国とは敵対関係にあったはずなのに、日本国内に地位のある人が残っていたこと自体が不思議。
政治的、風刺的な内容も入れているけれど、そういうのを入れるためにはもっとリアリティのある物語を描かないと、と思ってしまう。
SFとしても突っ込みどころはあるけれど、そもそも「オーバーテクノロジー」で済ませて科学的な説明をあまりしてない。SFを名乗るなら、もっと科学的な説明も欲しいところ。
また、そういうジャンル的な問題を除いても、主人公(?)の大月たちのライトなストーリーと、政治パート、SFパートがちぐはぐに感じました。
プロローグが説明的でかなり読みにくいのに比べると、本編は結構読みやすいし、古代文明などに絡めた壮大なSFを創ろうという心意気は買います。ですが、うーん。……このジャンルはなかなか難しい気がします。