(~59、最新話)
現在四半期ランキング四位、「異世界転移後、一週間で建国してしまいました…」が最近までランキング入りしていた乳酸菌さんの作品。
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異世界転生チートもの。
ダンジョンマスターという人間への敵へと転生した主人公が、入口の片方を食堂にしてダンジョンに見えないよう偽装し、その上でダンジョンを広げていくという話。
という設定はなかなか面白いのだが、上手く運用できていないという印象。
ダンジョンが首都にできてしまったため、冒険者が入ってきたら殺されることになりかねないと、入口を食堂に偽装するのは良いのだが、序盤はその食堂での料理の話ばかりが語られている。
主人公は想像したものをかなり自由に作り出せるため、客には転生前の料理を出すのだが、それらは現代基準で言うと普通のものばかり。素材集めや調理のシーンもなく、グルメものとしては今一つだと思う。
そして、食堂経営と並行して、ダンジョンを複雑にしたりモンスターを生み出したりするのだが、その理由が今一つ分かりにくい。転生の際に、主人公の人間に対する意識も変えられたとあるが、人間に対する憎しみがあるという描写は登場していないと思う。ならば、ダンジョンを作っているのは保身のためのはずで、食堂経営による偽装が上手くいっている以上、ダンジョンを複雑にする必要はないはず。
ダンジョンの深化自体も、保身とは別の方向に行っているように思う。主人公はダンジョンマスターとしてはチート級の能力を持っているようなので、それならもっと簡単に自分の安全を図れるようなダンジョン設計が可能に思える。
これ以外にも、多数の奴隷を欲するのもリスクを考えると疑問が残った……など、全体的に主人公が何をしたいのか分かりにくいのは、他のダンジョンマスターが作中で登場していないせいもあると思う。そのせいで、主人公の能力がどの程度チートなのかも分かりにくいし、登場する冒険者の能力も分かりにくい。
とはいえ、40話あたりで、冒険者が主人公のダンジョンに調査に来たあたりからは話が周り出してきた印象。話の方向性がはっきりすれば面白くなっていくかもしれない。