(~39、エピローグまで)
少し前まで四半期ランキングTOP5に入っていた作品。昨日完結したようです。
https://ncode.syosetu.com/n5503fn/
両親が亡くなり、僻地の領主となった主人公。実はとてつもない回復魔法の使い手だったが、それを保身のため考えなしに使っていたら、正義の英雄に祀り上げられ国と戦争になる。
基本的には、考えのないキャラクター達が織り成すドタバタ劇。
ただ、全く正義を意図していない行為が周囲から曲解され、英雄へとのぼっていく……というのは、非常に寓話的。児童小説でもこういう題材の作品って結構ありますよね? 行動が意図せぬ誤解を生み、その結果として栄光を得る、というような。
ただし、この小説の主人公は、誤解されていることに気付きもせず、もちろん思い悩むこともなく、考えなしで最後まで突っ走ります。なので、単なるお馬鹿でドタバタ劇とか、一種の勘違いものとして読むのが自然ではある。
……と、そう思って読んでいても、寓話的・皮肉的な怖さがよぎるのがこの小説の面白さだと思う。作者がどこまで意図していたかは分からないけど、こんな滅茶苦茶な内容なのに、どこか教訓的な味わいになっているのが魅力。