以前レビューした「
シャバの「普通」は難しい」が昨日とうとう完結しました!
第一部~第五部まで、どの話も一つ一つしっかり纏まっていました。
突飛な設定にもかかわらず自然な展開が続き、「勘違いもの」をベースに笑いを取りながら、最後は良い結末へとたどりつく。
そして何より、各部それぞれが一つの小説としてきちんと纏まっているのに、話が進むごとにキャラクターへの愛着が湧き、良い話を読んだなぁ、という思いが増してきました。
このブログでの「評価」も「オススメに上げたいと思います。
(そのため、「シャバの「普通」は難しい」記事のアドレスが変わっています。このブログ内のリンクは書き換えたつもりですが、書き換え忘れがあったらすみません。)
いや、「
無欲の聖女」のときも同じように、完結時に評価を上げているんですよね。
中村颯希さんの作品って、出来が良いのは間違いないのですが、序盤の時点だと突出したものがないとも感じてしまうんですよね。「シャバの「普通」は難しい」の第一部も、「勘違いもの」として凄く良い出来でしたし、設定にこの作者らしいスパイスが入ってはいたのですが、第一部時点では、「勘違いもの」のパターンから抜きんでているという感じはしなかった。
そういう意味では、第二部以降もそう。一つ一つのプロットは、良く出来ているけれど、突出しているという感じはしません。ただし、各部を、同じキャラクターの「勘違いもの」でありながら、少しずつパターンを変え、マンネリにならぬよう構成している点は凄い。なかなか作れるものではないと思います。
そして、芯は変えぬまま、キャラクターをきちんと成長させていっているあたりが面白さに繋がっています。一部一部のプロットをしっかり立てながら、各部の繋がりなど、全体の構成もきちんと練られている。そのおかげで、長く読んでいくことで面白さが増す作品に仕上がっているんじゃないかと思います。
最後まで楽しく読みました。次回作も期待しています!