(~150)
現在四半期ランキング三位の作品。
http://ncode.syosetu.com/n2273dh/
主人公は、勇者召喚に巻き込まれたものの、一年間で元の世界に戻してもらえると約束され、何か命じられることもなく、のんびり暮らしている間に魔族の王やら神様やら色々な人と親しくなっていく(恋愛する)、という話。
異世界召喚ものだが戦闘シーンはほとんどない。鈍感な主人公が周囲の人間を惚れさせていき、いずれハーレムになるのかな、という展開。こう書くと、「なろう」や「ノクターン」でもよくある、「理由がよく分からないけれど、主人公が多くの女の子に惚れられ、ハーレムを作る話」のようだけど、この小説は主人公が鈍感でガツガツしたところがないそういうタイプのいやらしさは感じなかった。どちらかというと少女漫画のように恋愛が描かれている。恋愛小説としては主人公より主人公に恋する女の子(?)に共感しやすいような。
また、設定がしっかりしているのも良い。確かに今は異世界は平和なのだが、以前には色々と争いもあった。主人公と関わりをもつ異世界の大人物たちの背景が語られると、主人公に惚れるのももっともと思えてくる。最初に召喚された勇者や、魔族と人族との関係なども面白く語られている。
と、いうわけでハーレムものとしてはかなり良い出来だと思う。ハーレムものはバランスを取るのが難しい分野だと思うが、うまくバランスを取って書かれている。
ただ、登場人物が出揃ってしまうと普通に恋愛を進めていくしかなくなるため、ちょっと面白さが減じたように感じた。また、異世界は平和で安定しており、解決すべきこともないため、後に引っ張る要素が、主人公が異世界に残るか否かくらいしかないのも問題か。
「おすすめ」にしようか迷ったけど、今後大きな展開などがなさそうなことを考えるとし辛かった。でも出来の良い小説だと思います。