(~103、最新話)
昨日に続き年間ランキング入りの作品を。
http://ncode.syosetu.com/n1337cn/
この作品は、
・悪役令嬢もの
・(ゲームの中へ)異世界転生
・経済小説
(・陰謀もの)
といった要素を持つ、いってみれば「なろう」や人気を博したネット小説のいいとこどりをしたような内容になっている。序盤、悪役令嬢へ転生した主人公が地方の領主代行を任されるという展開は悪役令嬢ものとしては意外性はあるが、それ以外はある種テンプレ的、「なろう」のどこかで見たような内容が描かれる。
しかし、上手い。一つ一つの要素にはオリジナリティを感じないが、「なろう」で人気の要素を無理なく組み合わせしっかり物語を形作っている。そもそも、この組み合わせ自体が上手いのだろう。なかなか組み合わせにくいと思われる要素たちを咀嚼し、しっかりとプロットを組み上げているところは非常に好感が持てた。私個人としては、経済小説はやや苦手なので、領主代行を任されてからの一連の話はあまり面白く感じなかったが、その部分をしっかり書いたことで後の展開にリアリティを持たせることができたと思う。
特に欠点らしき欠点はないのだが、あえて書けば意外性に乏しいのが欠点か。そういう意味で、勢いとか面白みは若干不足しているかもしれない。「なろう」で人気の要素を組み合わせた、ある種模範的な作品なので、やや地味な印象はある。その代わり、人に勧めやすい作品になっていると思う。
あと、ここ数話は若干改行(一行空け)が多くなっているのが気になった。リズムが悪い気がするのだけど、この方が読みやすいという人もいるのかな……。私は序盤の文体の方が好き。
----
2016年6月追記。
今年に入ってからはテンポが悪くなっていると思う。序中盤と違い、主人公の設定をあまり生かせてないような。
私の感覚がおかしいのかな、と
漫画版を読んでみたけれど、やっぱりこの頃の方が面白かった気がする。ただ、漫画版は粗筋を追っている感じなので、これを単独で読んで面白いかは疑問。小説を読んでいる人には良いですね!