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現在四半期ランキン五位の作品。
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エロゲームの「主人公の友人」への転移もの。
1章序盤で、エロゲームにおいて、主人公の友人は不遇だという話が語られるけれど、読んでいると、「この作品においてはそうでもないのでは?」と思えてくる。この友人には、莫大な魔力という武器があり、それを生かせば強力になる。その能力とゲームの知識を生かしてゲーム内で生活していく話。
既存のエロゲー作品に触れながら進む語り口は軽妙で、キャラクター造形も悪くない。ただ、「ゲームの主人公の友人」という設定が生きているかというと疑問。
「悪役令嬢もの」のように、黙っていたら酷い目に合う場所からのスタートというわけでもないのではっきりした目的はなく、また、本物の主人公の役目を横取りにしてやろうとするわけでもない。ただなんとなく転移先のキャラクターとして生きていこう、その際にゲームの知識を活用しよう、という感じで、中途半端な設定に感じた。
その結果として、ヒロイン数名と仲良くなったり、(ラッキースケベなど)エロゲーらしい展開に至ったりしているのだけど、こういう、ゲームの主人公に起きるようなイベントが起きるのなら、「主人公の友人」という設定は必要あったの? と思ってしまう。
その設定を除くと、ライトなエロゲーのノベライズのような出来、という印象。
文章は読みやすく、女性キャラクターはしっかり描かれている。突飛な展開などがなく、全体的に予定調和な感じも、なんというか普通のラノベっぽい印象を受ける。
一冊のラノベとして見たら水準以上の出来かな、とは思うけれど、物足りなくも感じる作品。