(~166 第三章まで 以下継続して読む予定)
アニメ化も決まった大人気長編。
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設定・文章・ストーリー共に文句ない出来です。一段落したらここにレビューを書こうと思っていたのだけれど、なかなか一段落までいかず時間がかかってしまった。本当は最新話まで追いつきたいのだけど、まだ半分にも達していないようなのでひとまずこのあたりで書きます。
異世界転移した主人公が『死んだら巻き戻る』という能力を使って、過酷な状況の中で答えを探していく作品。この、ゲームで「セーブポイントに戻る」というような設定は、一つ間違えば現在の主人公のいる状況に深刻さがなくなって弛緩したものになったり、似たような描写を繰り返し読まされ飽きやすいものになったりするだろう。それを、主人公を取り巻く状況や主人公の心理状態を各ループごとにかなり大きく変化させることで、緊張感を維持することに成功している。
文章は、堅さが少なく、「なろう」っぽいというよりは出版されているラノベっぽい文体。とても味があるとまでは言わないが、上質には違いない。ラノベ読みには親しみやすいものだと思う。(私自身はそれほどラノベを読まないので、若干違和感も感じたが)
問題は、長さだ。
断っておくが、決して冗長ではない。むしろ、毎回主人公の置かれる状況を考えれば最少のループ数で切り抜けているといっても過言ではない。ラノベ的な主人公の長広舌こそあるが、それ以外で不必要な描写はほとんどなく、整理してまとめていると思う。この扱いにくい素材をここまで調理していることは素晴らしいと思う。
だけれど、それでも読んだ文章量に比して、物語が進むのが遅いのはやむを得ない。『まどマギ』を知っている人なら、ほむほむ視点の物語をしっかり描いていたらどの程度になるか想像してもらえば分かりやすい。各ループで何か一つ発見があるようにループ数をできるだけ少なくしたとしても、本編の数倍もの分量になることが容易に想像できる。
そんなことをしているのだから、この物語が長いことは仕方がない。だが、スケールの大きい背景があるようなのに、それが明らかになるスピードが遅すぎるというのは、若干にせよ読む意欲を減退させてしまう。
私が今読み終わった三章まででは、まだ物語の先の方が少し明かされたに過ぎない。今から思うと一章・二章は完全にプロローグだったし、まだ今の時点でも起承転結の「起」の部分だろう。そういう意味で、これ以降予想されるスケールの大きい面白さへの期待と不安を込めて、「おすすめ」としています。ここまでは十分面白かったし面白くなりそうだった。けど、先が分かるところまではいけていないので。
ここから非常に大きな、面白い展開があれば「非常におすすめ」にするつもり。いつになるか分からないけれど最新話に追いついてからもう一度レビューします。