(~30、最新話)
現在四半期ランキング四位、多数の書籍化作品を持つ槻影さんの新作。第二章の連載が開始されたところです。
https://ncode.syosetu.com/n6621fl/
槻影さんの作品は、以前、「
堕落の王」を取り上げて、イマイチの評価を付けました。
「
堕落の王」が、結構評判の良い作品だということは知っています。実際序盤は面白かったのですが、視点変更の使い方が下手な気がして途中から乗れなくなり、槻影さんの作品は私とは合わないのかなぁ、と、それ以降他の作品も読まずにいました。
それが、今回、四半期ランキングに上がったことでこの「昏き宮殿の死者の王」を読んでみると……非常に面白い! 今まで、槻影さんの作品を避けていたことをちょっと後悔しています。
アンデッドもの。
病死した後、死霊魔術師によりアンデッドとして復活した少年が主人公。
第一章では、自分を復活させた死霊魔術師と、さらにその死霊魔術師を狙って襲ってくる騎士団の目を避け、逃げて自由になろうとする様子が描かれている。
それほど斬新な展開はないのだが、迫力のある文章で緊張感を演出しており、非常に読ませる作品。登場人物を絞って細部まで描くことで、主人公、死霊魔術師、騎士団の関係を浮き上がらせている。
どんでん返しというほどではないのだけれど、救われた? と思わせてから落とす展開の使い方が巧み。
「なろう」のアンデッドものらしく、主人公の成長の様子をしっかり描いているのも良い。
というわけで、第一章は、目新しさこそ薄いものの、ホラーっぽい世界観を正面から描いた完成度の高い作品でした。懸念材料があるとすれば、第一章で物語がある程度完結しているので、第二章以降がどうなるのか……ということですかね。第一章のまま話を続けていれば面白くなる、という感じではなく、第二章で新しく創らなくてはならないことが多そうなので。
でもまあ、第一章は十分楽しめたので、期待しています。
こういう良作がランキングで上がってくるのは嬉しいです。