(~84、完結済み)
十一月~現在まで四半期ランキングTOP5に入っている作品。
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主人公の悪役令嬢は、聖女を害した罪に問われ断頭台で首をはねられた。復讐を誓いながら死んだが、十歳のときに生まれ変わる。だが同時に、その体にはこの世界を乙女ゲームと認識しているA子の意識も取り付いていた。A子から肉体を扱う権利を取り戻し、前世の経験とA子の知識を利用して、復讐を実行していく。
名作。
異世界転生もので悪役令嬢ものだが、生き返った悪役令嬢を主人公に据えたのが珍しい。そして、A子という庶民の感覚も参考にし、内心を隠し、表面上は国や民のための行動を取りつつ復讐を行うというのが斬新。
設定も良いがストーリーもキャラクターも良い。一貫して悪役令嬢らしさを失わずに行動する主人公に説得力があり、物語が切れ味鋭く展開していく。たとえば、本来ライバルになるはずの聖女を、自分の評判を上げながら無力化するのも上手いし、それを自らの復讐へ繋げるのも上手い。
気になるところがあるとすれば、中終盤がやや駆け足に感じたところか。確かに今のままで上手くまとまっているのだが、主人公がこの国でどのような政治を執り行っていたかもっと作中で描いて欲しかった。
また、主人公と暮らすことでA子の内心も変化していくが、その変化の様子をもう少し細かく描いても良い気がした。
最初から最後まで非常に面白く読みました。
「おすすめ」か「非常におすすめ」かで迷ったけれど、「
ウロボロス・レコード」と同じくらい面白いと思うので「非常におすすめ」にします。
今見たら、「非常におすすめ」を付けた作品って2017年以来なかったのですね。もう少し多くしたい気もします。