（~36 第三十話まで）
累計ランキング三位の作品。
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異世界転生で、貧乏貴族の八男に転生した話。
主人公は、この世界でも滅多にいない優れた魔法使いという（チート）能力を育て上げ、それを使って出世していく。まあ、いってみれば典型的なチート異世界転生もの。
この八男という設定はなかなか秀逸だと思う。題名も興味を引くし、「自立しなくちゃいけない」という主人公の背景にぴったり。主人公の行動の動機をよく説明している。
ただ、実際のところ主人公は自分の家柄を利用しようという思いはあまりなく、早く自立したいと思っているので、むしろ「八男」だから構われないことを有りがたがっているようである。「それはないでしょう！」と考えているシーンは少ない。そういう意味では、題名はストーリーを正しく表していないようにも思う。
その他、主人公を取り巻く状況であるとか、設定はかなり凝っており、上手く作っているように見える。が、一々それを説明するためテンポが悪い。また、主人公は努力するしピンチも経験するのだが、あまりその部分が書かれないため、単にチート能力を使っているように見え、共感もしにくい。
主人公の能力を生かす世界観や設定をしっかりしているため、やりようによっては面白く演出することもできたはずの話だが、全体的に説明的過ぎる文章と、面白みの少ない主人公の性格・語り口のため、なかなか読みにくい話になってしまっている。
……う～ん。
単純に、「面白くなかった」のだけど、何が面白くなかったのか説明するのって難しい。設定は悪くないと思う（チート転生もののストーリーは面白いとは思えないけど、これくらい設定に凝っていれば見せ方次第で面白くなるはず）ので何を改善すれば良いか考えたのだけど……文章なのかなぁ。
逆に、この小説を評価している人は、こういう文体が読みやすいということなんだろうか。
