(~50、第一章まで)
現在、四半期ランキング三位、月間ランキング一位の作品。書籍化決定しているようです。
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勇者VS魔王のダンジョン攻略がエンターテインメント化した時代。子供の頃から勇者に憧れていた主人公だが、十歳になって神様から与えられた【役職】は不人気職の黒魔導士だった。それでも、苛酷な修行により強大な力を得、縁の下の力持ちとして、【勇者】となった親友とともにダンジョン攻略し、世界第四位の人気勇者パーティに属していた。だが、他メンバーの不平のため追い出されてしまう。そこでスカウトに来たのが魔王軍だった。魔王城の深部で、勇者を追い返す側に回ることになる。
戦闘をエンターテインメント化することで血なまぐさい内容を回避した、「なろう」で良くみる「天職」・追放もの。実はパーティで重要な役目を果たしていた主人公が、それに気付いてなかった仲間に追放される……といったあたりは定番ですね。
その後、魔王軍に入るけれども、ダンジョン攻略がエンターテインメントなため、復讐譚が(いわゆる「ざまぁ」と呼ばれるような)嫌な雰囲気ではなく、気持ちよく読める友情重視の物語になっているのは良い。復讐譚は読みたいけれど、悪役がこてんぱんにやられるような展開に後味の悪さを感じるような人は結構いると思うので、この展開のさせ方は上手いと思う。
……そういう展開は上手いと思ったし、第一章終盤の熱い展開には興奮したのだけど、個人的にはちょっと苦手な小説でした。
友情物語を強調するためか、漫画「ワンピース」のような説教臭いセリフが多いのが辛い。正義の押し付けをされているような気分になります。主要人物にはほぼ悪役がいないのに、サイドストーリーにちょっと出る人物に、引き立て役として典型的な悪役を出すというのもいただけない。あと、主人公視点と親友の勇者視点の変更がちょっと読みにくい。
そのあたり、気にならない人は気にならないかもしれないけど、私には結構読みにくかった。コンセプトは良いし、第一章が上手くまとまっているのは確かだと思うけど……うーん。
「ワンピース」を引き合いに出したけど、結構似た印象を持ちました。私が「ワンピース」を苦手なだけで、ああいう話が好きな人には面白いのかなぁ。