(~13、完結済)
「町をつくる能力!?」のルンパルンパさんの新作。突然完結してしまったので、慌てて書いています。
https://ncode.syosetu.com/n1970en/
異世界転生からの帰還もの。
迷宮のある世界へ転生した男が、迷宮最下層で日本へ帰りたいと願ったら、迷宮と共に日本へ帰還したという話。迷宮はローグ系で、中に入ったらレベルリセット、一定の階層まで進まないと戻ることはできないが、貴重なアイテムもあるという設定。
突然完結してしまったが、現在までの部分まででは、誤って迷宮に入ってしまった人達を主人公が救う様子が描かれている。まあ、迷宮紹介の意味が強く、プロローグ的な内容ですね。
「異世界転生からの帰還」系統の作品だと、力を得た主人公を現代の世界(日本)でどう活躍させるかが難しく、上手くいっていると思えた作品はほとんど見た覚えがない。主人公を活躍させるために現代世界を妙に変質させしまい、帰還設定が空回りしている印象のものが多い。
その点、この作品は異世界の迷宮も一緒に登場させることで主人公の活躍の場を用意しているのが上手い。主人公は再び迷宮と関わるつもりはなく、現代日本で普通に暮らすことを望んでいるが、その経験を乞われるのは間違いなく、今後も迷宮に関わっていくことになるだろう。
これは、現代日本への帰還という設定と、主人公の能力を生かすことの両立が計れる上手い設定だと思う。ただ、既に日本の陰の権力団体というファンタジックなものが登場しており、作者はリアルに現代を書くつもりはなかったかもしれないが。
日常生活を送りたいという主人公が、迷宮とどう関わっていくか(あるいは、関わらないでいられるか)が主眼……となるはずだった作品で、上手く描ければ面白くなりそうで期待していました。突然完結してしまったのは残念です。
ちなみに、この作品を掲載する前に、ずっと中断していた前作「町をつくる能力!?」の最終話が突然投稿されました。SFのエピローグ的な内容で、これまでの内容と合っていたとは思わないけど、単体として見たら悪くない出来に思えました。
感想への返信を見ると、書籍の打ち切りが原因でこうなったようで、残念ですが作者の気持ちを考えると仕方がないか。一章ラストの部分が読めたことは幸いでした。
追記)2019年になって、完結済みが撤回され、続編が投稿されました。2019/1/23現在、継続的に投稿されています。ただ、去年の投稿とは大分違う雰囲気になってますね。迷宮との関わりはほとんど描かれず、主人公がいじめの復讐のために甲子園を目指す(!)というギャグ風味の内容。現在、仲間を集め野球部の設立をしたところです。
これはこれでつまらなくはないのですが、雰囲気が違い過ぎるし、迷宮の話がほとんど生きていないしで、なんか妙な小説になったなぁ、という印象です。