(~間章一(67)まで)
つい先日一周年を迎え、年間ランキングでもベスト5を走り続けているこの作品。
http://ncode.syosetu.com/n5115cq/
・異世界転生ものだけど、異世界転生要素は薄い。(現世の知識を時折活用する程度)
・主人公は非常に強いけれど、ぶっちぎりではない。
・主人公の性格は控えめで分をわきまえている。
というあたりは、「
人狼への転生、魔王の副官」と共通している。「人狼」の方は一応(人間から見ると)敵役、こちらはヒーローという違いはあるけれど、読後感はかなり共通していると思う。
作者の言葉に「ライトに読める、古風で王道なファンタジー英雄譚を目指します。」とある通り、異世界要素を除けばかなり正統派のファンタジー。ライトノベルよりは児童小説よりで、これも子供に読ませたい話。
第一章は進行が遅いと思ったが、第二章はそうは感じなかった。文章もストーリーも特に悪いところはなく十分面白い。けれど、おすすめするには第二章までだと若干盛り上がりが欠けるか。今後、派手な展開や意外性がのあるストーリーがあれば評価は変わると思う。早く追いつきたいな。
さて、「人狼への転生」との比較はどうだろう。
「人狼」の方は、作者(や主人公)はあまりメッセージ性のあることを言わない。平和主義ではあるが、それ以外はほぼ中立、かなり達観している。それに比べるとこの作品の主人公は(ダメな人生を送っていた割には知識が豊富だが)転生前の人生への後悔が強く、良い人生への希望を口に出す。「人狼」の主人公ほど達観してはいない。
それを共感しやすいととるか、鬱陶しいととるかだけど……私としては若干、鬱陶しいかな、と。そういう意味で、どちらか一つを取れと言われたら「人狼」の方をお勧めします。ただ、主人公が主張した方が派手な展開に移動しやすいだろうから、今後、化ける可能性はこちらの方があると思う。そういう意味では、もっと読み進めてからレビューすべきかもしれない。早く追いつかなきゃね。
そういえば、この作者は
アルカディア=ガーデンなる企画にも参加しているんですよね。メンバー的に私の好みではないかとも思ってたのだけど、この作者がトップバッターなら面白い世界が出来上がってもおかしくない。どうなんでしょう? 機会があれば読みたい。