「小説家になろう」からは既に削除されているけれど、「なろう」発の作品なのでここにレビューを。単行本で読みました。
住野よるさんのデビュー作。「なろう」で話題になった作品です。
もうすぐ実写映画化もされるそうです。
難病ものということは知っていたので、所謂、難病ものの典型的なストーリーを予想して読んだのですが、それよりは楽しめました。泣いたりはしませんが。
難病の女の子と、人付き合いの苦手な主人公との関わりという点では、「四月は君の嘘」を真っ先に思い出しました。女の子の性格や会話などがとても似ていると思う。影響受けているのかなぁ……。
ただ、「四月は君の嘘」は音楽がテーマで、主人公にも音楽的才能があるのに対して、こちらの主人公は特に何もない。「四月は君の嘘」から音楽を抜いたような作品と言うべきか。
逆に、「君の膵臓をたべたい」にあるのは、題名のインパクトと、終盤のやや意外な展開ですね。興味を引く良い題名だと思うし、終盤、単なる難病もののままで作品を終わらせなかったのは作者の気概を感じました。
ただし、どちらも効果を上げているか、というと疑問。
題名は、インパクトはあるけれども、作中で効果的に使われているかというとあまり上手い効果を上げていないと思う。終盤の展開についても同様です。
また、人付き合いが苦手な主人公という設定もどうなんだろう? 一風変わった性格にしているせいで共感しにくい気もするのだけど。漫画やアニメならこういう性格もアリかもしれないけど、小説の一人称でこれをやられるとちょっときつい。
あと、医学の進歩により、病気が進行しても普通に日常生活が送れるという設定は、ファンタジーにしてもご都合主義的過ぎて抵抗がありました。
というわけで、作者の狙いはあまり成功していない気がするのだけれど、難病ものとして及第点は上げられそうな出来だと思います。主人公はイマイチだけど、女の子の方はそこそこ描けていると思います。作中の会話に魅力的な部分もちらほらありました。
ただ、これが「なろう」で人気になったというのはちょっと不思議。実際ランキングでどの程度まで上がったのかは分からないけど、(主人公の性格は「なろう」っぽいけど)それほど「なろう」向きの作品とは思えない。
序盤で難病ものだということは分かるし、題名の意味も特に引っ張ったりしない。これだと、先を読みたいと思わせる要素はあまりない気がするのだけど……。やっぱり、題名は大事だということなのかなぁ。
1. 無題
この作品は小説家になろう時代は字数は10万字を超えるくらいながら短編カテゴリに置かれてました。
なんでランキングはそっちの1位まで。上位には常に居る形で。
確か2014年初頭から15年の4月まで掲載されていたはずなので総合は日刊でも上位までだったかと思います。
総合はちょうど無職が王者だった時代だと思うんで。
先を読みたい、というよりは連載を追う作品ではなかったので先がない。短編とはいえランキングの上位なので一目につきやすかったという感じでしょうか。
短編でその字数はどうなのとは思いますけど、作者さんもどのくらいまでが短編なのかわからずで投稿したみたいなことを感想で言ってたような記憶があります。
「なろう」向きの作品じゃないというのはそんな感じで実際に書籍化が決まった頃からなんだかケーター小説っぽいねって語られてた記憶がありますね。
異世界召喚、VRMMOばかりの中で珍しいカテゴリの作品でもありましたし、ちょうど時期的にもランキングの上位が乱雑に書籍化され始めていた時期でもありました。
一時期、離れていた時期があったのでCMで映画化とか見た時は驚いたの覚えてますわ。