(~38、最新話)
「
異世界国家アルキマイラ」のコメントで教えてもらったので読んでみました。2012年~2013年頃の作品。
https://ncode.syosetu.com/n7769bh/
主人公が、人間の王が魔物の国家を運営するというコンセプトのVRシミュレーションゲームをしていたら、城と国民が異世界へ転移させられ、部下の魔物たちに人格が宿ったという話。
……という設定は「異世界国家アルキマイラ」とほぼ同じですね。その後、転移先の近くで迫害されている人々を救う、という大まかな展開も同じ。まあ、「異世界国家アルキマイラ」がこの作品を意識して書かれているのは間違いないと思いました。
ただ、「異世界国家アルキマイラ」はこの作品を下敷きに、色々と改良しているという印象。具体的には次の二点。
・商業ラノベのような文章にした
・テーマを分かりやすくし、盛り上げるべきところで盛り上げた
「エステルドバロニア」の文章は味があるもののまどろっこしい部分がある。それに対して「異世界国家アルキマイラ」はかなり読みやすい。
「エステルドバロニア」ではシミュレーションRPGという設定を生かし切れていない印象があるが、「異世界国家アルキマイラ」ではそれに関するイベントを追加、また、主人公が異世界転移に馴染めないことを強調して山場を作った。「エステルドバロニア」ではその辺りの心理状態の変遷がちょっと分かりにくかったと思う。
ただ、「エステルドバロニア」の方が優れている点も結構ある。
特に、「エステルドバロニア」では「魔物の国」を強調できている点。魔物たちだからこそのエピソードもあり、どういう人々が暮らしている国なのかが伝わってくる。そのため、主人公の部下たちのキャラクターはこちらの方が立っていると思う。
VRという設定はどちらもあまり生かせてないと感じた。ただ、「異世界国家アルキマイラ」を読んで「なんでVRゲームにしたの?」と違和感を持つ人は多いはず。「エステルドバロニア」では一応そのあたりの説明がある。全体的には「エステルドバロニア」の方が納得できる設定になっていると思う。
なお、話が取っ散らかってしまい、先を続けにくくなってしまった感はあるが、現在中断中の三章も面白く読んだ。作品の内容だけ見てこの二作を比較するとしたら、私には「エステルドバロニア」の方が魅力的に映った。