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「小説家になろう」レビューブログ

「小説家になろう」作品のレビューをするブログ。おすすめ作品まとめ。五段階で評価しています。「小説家になろう」総合ランキングで四半期ランキングベスト5に入った作品を主に扱っています。それ以外は自分の趣味に合いそうなものを適当に。レビューした小説一覧は「カテゴリ」一番上にあります。リンクフリーです。

弱小領地の生存戦略! ~俺の領地が何度繰り返しても滅亡するんだけど。これ、どうしたら助かりますか?~

(~173、最新話。今後も読む予定)

現在四半期ランキング一位の作品。

https://ncode.syosetu.com/n9624gu/

領主である主人公は、平和に領地を治めていたのだが、ある日突然軍隊を送り込まれて滅びてしまう。だが、主人公は滅亡の三年前の世界で目を覚ました。そして、いわゆる「死に戻り」ができるようになったことを自覚。その能力を生かし、なぜ自分の領地が攻められたのか、その背後関係を調べ、自分の領地を滅ぼさない未来を目指す。

内政+「死に戻り」の組み合わせ、という言い方でいいのかな。
当初、なんで自分の領地が攻められたのか全く理由が分からなかった主人公だが、攻め込まれないために他の侯爵と関係を同盟を結ぼうとしたり、王家と関係を結ぼうとしたりする。そのたびに殺されることで、他の侯爵たちや王家が何を考えているかが分かってくる。ミステリー仕立てになっている。

だんだんと裏の関係が分かっていくのは面白い。「死に戻り」もしくは「時間遡行」ものでは、「実はこうだった」と明らかになっていくところがポイントだと思うが、多くの登場人物間にあるなかなか複雑な関係をしっかり描いており、上手くできていると思う。

問題は、「死に戻り」が無制限に使えてしまう点か。
死に戻る制限などがなさそうなため、主人公の命が軽くなってしまっている。自殺することも多い。そのため、ゲームでセーブロードを繰り返しているような読み心地になっているのは今一つだと思う。ここはもう一つ、何か工夫が欲しかった気もする。

というわけで、悪くはないけれど、「おすすめ」にする程ではないかな……と思い、途中でやめようか迷っていた。が、公式のレビューを見ると、この後に盛り上がる部分がある、とあったのでそこまでは読んでみようと思って読み進めた。

そして、「真相解明編」と名付けられた第五章。
ここは本当に面白かった。様々な伏線を回収しつつ、かつ、驚きもある展開で、「死に戻り」という設定を有効に活用したものになっていた。

ただ、そこは面白かったのだけど、第六章以降もその盛り上がりがずっと続いているか、というと若干微妙なところで。面白いことは面白いのだけど、やはり、「死に戻りが無制限に使えてしまう」という欠点が足を引っ張っている気がする。

だから、全体としての印象は「まあまあ」なのだけど、第五章(とその直後)あたりは「おすすめ」だったので、良い方に合わせて評価は「おすすめ」にしました。



ところで、「なろう」で「死に戻り」というとやはり「Re:ゼロ」に触れておくべきだろうか。

「Re:ゼロ」と比べて、もっとも違うのはその語り口だろう。

この小説には「Re:ゼロ」の主人公のあの異常なほどの熱気はない。基本的にはゲームのように淡々と死に戻る。私にはちょっと物足りなく感じたが、「Re:ゼロ」のあの語り口が苦手な人もいると思う。そういう人にもこちらの小説はおすすめできる。

「死に戻り」の活用という意味では、こちらの方が整理して書かれてある気もする。上に書いた通りだけど、背後関係が少しずつ明らかになっていくのは心地よい。
まあただ、「Re:ゼロ」でも真相が明かされる部分はあるけれど、アクション(戦闘)で終わることが多いため、ミステリー的にすっきり解決、という風に書くのは難しいから比較するのが悪いのかも。
内政ものとアクションものでは、「死に戻り」の描き方も変わってくる、ということか。

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コメント

1. 無題

10話ほど読んだのですが、面白くなりそうな予感も約束もされているのに日本語が不安定で読み進める気が無くなってしまう作品です……
特に文末に違和感のある文章が多く、(三人称の地の文で『〜だが。』で終わる・『謁見の間を退室し。』など連用形中止方が接続せずに句点がつく……等)
そのあたり気になってしまうのはなろう小説に求めすぎているのでしょうか。
ここまで書いておいて、大筋のお話の面白さ、構成力、文章の美しさ、諸々取り揃えた作品作者はすぐ商業だろうなと自己解決してしまいました。笑

2. 返信

コメントありがとうございます。

このコメントを見て、私も序盤は、文末に同じような違和感・読みにくさを抱いていたことを思い出しました。ただ、これを悪い文章と言ってしまって良いのかは迷います。癖とか特徴の範囲内という気もするので。私も読みにくさを感じたのですが、一文を短くしスピード感を出す、といった良い効果もあるとは思います。

ただ、途中からこの違和感は感じなくなったな……と見返してみました。すると、最近もこういう文末の書き方はしていますが頻度は減っていました。また、全体的に一文が長くなったため目立たなくなってもいるようです。

3. 無題

その後最新話まで読破しました。
五章、本当に熱くて練られていて技量も感じさせる面白い展開でした。読んでいてよかった。序盤から中盤もここまでの仕込みだと思えば納得しましたし、ゆるめな描写からシリアスへと加速する心地よさもあるので今のところ「おすすめ」の評価で間違い無いかと思います。

文末の表現ですが、おっしゃる通り段々と使い方の違和感が減ってきました。最新30話程の頻度だと作者の特徴で収まる気がします。死に戻りで個人的にネックだと思っている、前回のリープ回と同じ文章が続いてしまう問題もうまく流して打ち切るか、読者に違和感なく描写を飛ばしているというか、とにかくお話の構成のうまさを感じました。
そこら辺鑑みるに前半を読み進めてもらうためのテンポ感を良くする演出だったのかな、と。

ご返信ありがとうございます。

4. 返信

第五章は面白かったですよね! 私も構成の上手さを感じました。

文末の表現も段々と気にならなくなったのなら良かったです。こういう表現を見て読みたくなくなる気持ちはよく分かります。作者がどの程度意図してこういう表現を使ったかは分かりませんが、序盤は多用し過ぎだろうと思います。

なお、レビュー本文にも書きましたが、第五章とその前後は面白かったですが、その後、勢いは落ちていると思っています。でも、作者の構成の上手さを思うと、現在の最新話あたりの内容が伏線となりもう一度盛り上がる展開を期待してしまいます。

5. 無題

テンプレから少し外したアイディア、構成、話のまとめ方が近頃のなろうで稀に見る秀逸さ
キャラクターの魅力、会話など平凡
素の文章力は文末が気になるのでやや難
散りばめた伏線を一気に回収してカタルシスへ持っていくのが上手
私の評価はこんな感じなのですが、他のレベルが纏まっている分、文末に目がいってしまったのかもしれません。

普段は些細な誤字誤用、ミス、難読文字の多様などあまり気にせず内容よけりゃいい!で読んでいるのですが…

五章以降勢いと一時の面白さはなりを潜めていますね。
物語の結末ではなく、しかし重要なターニングポイントに快感を持ってきているので、私もここからまた一波乱欲しいと期待しています。

管理人:てぃるる

「小説家になろう」にハマり、日々読み続けています。超大作が読みたい。多少粗い部分があっても大胆で壮大な展開がある話が好き。「小説家になろう」以外の小説ではSFやミステリーを読むことが多いです。その他、雑多なことはここに書いています。

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