(~76、最新話)
現在四半期ランキング二位、年間ランキング三位の人気作品。題名が度々変わるので書いてませんでしたが、一応安定した(?)ようなので。
https://ncode.syosetu.com/n0955el/
まず、題名が特徴的な作品でした。
以前の題名は、「( ´・ω・`)勇者はお払い箱→まものの森でスローライフ→魔王認定される→いい加減ぶちキレました→ずっと俺の無双ターン」(さらに現在連載している部分に「(←今ココ)」が挿入)で、題名を読めばあらすじと現在連載中の内容が分かるもの。
古い題名を見れば分かる通り、魔王を倒した勇者が裏切られ、魔王の側につくという話で、「なろう」で人気のジャンルの一つですね。
主人公である裏切られた勇者が復讐する……という内容ですが、主人公を丁寧に、人間らしく書いているのが読んでいて心地良い作品。「なろう」でよく見かける復讐ものの主人公のように、直情径行で何がなんでも復讐(といいつつ途中でハーレムを作ったりする)という感じではありません。主人公は、裏切られてしばらくは復讐しようという気もあまりなく、スローライフを送っていたのだけれど、人間の暴虐な振る舞いに怒って復讐へ向かうという流れ。題名通りですが、自然に、過不足なく描かれているのが良い。
物語の合間に挟まれる童話のような語り口も良い効果をあげていると思います。作者が誰かに肩入れしたりせず、一歩引いて客観的に作品を捉えている感じがします。「なろう」らしい内容にもかかわらず、全体的に完成度が高く仕上がっていると思いました。
と、確かに完成度は高いのですが、物語として意外性がないのが気になるといえば気になるところ。まあこれは作者の狙いでもあるだろうし、仕方ないのかなぁ。
また、第五章で復讐が一段落し、これで完結かな? と思ったのに、第六章で今までとはあまり繋がらなそうな事件を取り上げているのもちょっと気になります。個人的には、第五章で完結にして、あとはエピローグとか外伝を書くので良かったような……。
今後の先行きには不安が残るものの、第五章まで、ちょっとのんびりめの復讐譚はなかなか良い出来だったと思います。復讐ものは好きだけど、主人公についていけないことが多い、という人には特におすすめ。