(~120話あたりまで)
VRMMOの中へ性転換して転生……という「なろう」や「ノクターンノベルズ」ではしばしば見かけるタイプの作品の代表格。
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だが、この作品ではいわゆる性転換系のテンプレ(自分の胸を触ったり……)といった描写はほとんどなく、ゲームの世界の中で主人公が危機的な状況に陥ることもほとんどない。そういう意味では、TS好きの人にもVRMMOものが好きな人にも、どちらの層の取り込みにも失敗していると思う。
至極、のんびりと、落ち着いた語り口でゲームの世界を描いていく。
そもそも(チートではないにせよ)主人公の能力が万能に近く、性転換してもなおどっしりと落ち着いたキャラクターとして描かれているので、読者としても落ち着いて眺めているしかないのである。
それでいてそこそこ面白く読めるというのは文章がしっかりしていて、語られるゲーム内世界の内容が魅力的だからだろう。こういう躍動感に欠けるファンタジーというのは、読みやすいし悪くはないのだが、積極的に評価していいものか迷ってしまう。
遠くからこの世界を景色をじっと眺めていたいと思える人にはおすすめの作品。