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今年五月の投稿開始から、かなりのハイペースで投稿され続け、瞬く間にランキングを駆け上がったこの小説。
「なろう」に溢れるほどある異世界転生ものながら、女主人公の転生先が「蜘蛛」と一風変わっており(そのため読者からは「蜘蛛子」と呼ばれて親しまれている)、その生き様がシンプルで共感を産んだと思う。
また、チート要素やステータス表示など異世界転生ものの定番ながら、話がしつこくなるため足を引っ張ることにもなりやすい部分を割合あっさりと書いているのも良い。
……というか、主人公の語り口が軽いけど、楽しいっていうのが一番良いところだよね。気楽に読めて、面白い。話自体は凄く面白いというほどじゃないけど、「なろう」で読むには理想的。
ただし、物語はその蜘蛛子が「何かをした」後の時代へと移りつつある。彼女が何をしたのか、そのせいで彼女以外の転生者はどうなったのか?
転生話の根幹とも関わってくる部分のためとても興味深いのだけど、そのため女主人公の登場頻度が減ったのは諸刃の剣。この記事を書いている現在、「エルフの里攻防戦」なる章で女主人公はしばらく出てきていない。つまらなくはないのだが、蜘蛛子が出てこないとこの話はイマイチぴりっとしない。
女主人公とその語り口は非常に読みやすく面白いが、他の転生者の話とうまく繋げられるのか、といったあたりは個人的にはあまり期待できない気がする。というわけで、読んでも損はしないけど、おすすめというには一歩足りない気もする。
でも、蜘蛛子の成長物語としては凄く面白いよ!