（～43、最新話）
現在四半期ランキング二位の作品。前から読んでいたのだけど、一区切りついたようなので。
https://ncode.syosetu.com/n3527ei/
次の三つの設定を組み合わせたような設定の作品。
１ 主人公は勇者である妹のパーティにいたが、仲間の賢者から追い出されて辺境で薬屋を営む
２ かつて仲間だったお姫さまがやって来て、主人公と同棲を始める
３ 加護は神からの贈り物だが、非社会的な加護を持つと人格も邪悪になってしまう
１は「なろう」で人気の設定、２は恋愛要素を入れるためのもの、３はちょっと珍しいけれど「
Eクラス冒険者は果てなき騎士の夢を見る」と似た設定ですね。
これらを組み合わせるというアイディアは悪くないと思うものの、上手く噛み合っているかが問題。
序盤は、主人公の現状を描き（１）、その後、やって来た女性との恋愛模様を描く（２）。この時点でも、一応既に事件は起きているのに、恋愛描写にこんなに分量を費やしていいのかという違和感はあった。
その後、３に絡んだ麻薬を用いた事件が起きる。
この世界の成り立ちにも関わっており非常にシリアスな事件なはずなのだが、１や２との関わりが薄く、辺境の独立した事件のように描かれているのが不満。一応、最終的には、１に関連する人物も関わるのではあるが、この解決が全てだとしたらちょっと小粒過ぎる印象。それなら、３の要素を絡めないただの麻薬事件でも良かったような。
魔王との戦いと人間同士の争いという二つの側面があるが、そのバランスがどうなっているのかが分かりにくいことに加え、「加護」に関する設定が重すぎる（コメディ寄りだった「Eクラス冒険者は果てなき騎士の夢を見る」でも話が重々しくなってしまった）ため、物語の方向性が分かりにくくなっているのだろう。今のところ、それらを俯瞰できるような事件がないため、どこかちぐはぐな印象がある。
とはいえ、これらの設定をどうにかまとめようとしている努力も見える。設定自体は良いと思うので上手く纏まれば面白くなると思うのだが、なかなか難しそう。
