婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳（グーパン）で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話

主人公の子爵令嬢は、婚約者に、主人公のいとこ（叔父の娘）との不貞を告白されたことで前世の記憶がよみがえり、怒りで婚約者を殴って婚約破棄する。人生設計の狂った主人公は、幼少期からの憧れだった魔法学校へ入学しようとするが、叔父が以前そこを退学になっていたため奨学金が受け取れないと知る。それでも特例で入学し、王太子殿下など特別な人と親しくなりながら学校生活を送る。

導入は婚約破棄だが、魔法学校に入学してからは普通の学園ものという雰囲気。ただし、主人公は優秀な人、特別な人ばかりと知り合いになり、起こる事件も不穏なものが多い。主人公はほんわかした性格で、使い魔とのやり取りものんびりとした印象だし、学園ものらしい楽しい登場人物やエピソードも多いのだが、一部の登場人物を取り巻く状況は結構深刻である。

学園の雰囲気が良く、主人公の暮らしぶりを読むのが楽しい。また、シリアスな伏線が色々と張られているのも面白い。しかし、その二つの要素が上手く噛み合っていない気はする。
私は、第三章あたりまでは楽しく読んでいたのだが、だんだん、上手く伏線を回収できるのか？　と疑問になってしまった。元婚約者や叔父に関する話はしばらく見ていないし……。

読んでいて楽しい作品ではあるけれど、話を広げ過ぎている印象。上手くまとめるのは難しいだろうな、と思っているものの、今後の展開を楽しみにしようと思います。