(~81、最新話)
現在四半期ランキング二位の作品。
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現実にダンジョンが現れた世界。その世界で、車を運転していたら偶然に一つダンジョンを攻略したことになり、非常にレアな、スキルを使えるようになるオーブを手に入れ、強力な力を得た男が主人公。
その力によりオーブを安定的に手に入れる算段がついたため、もともと退職を考えていた主人公は退職し、同僚だった女性の助けを得てオークションなどを用いて莫大な儲けを出していく。
ダンジョン攻略よりも、理系的なアプローチでダンジョンを研究したり、税金の問題や世界の資源の問題といった現実世界との関わりに重点を置いているのが面白い。
また、古典SF・ホラーなど数々の小説・映画などを引用、(主人公たちの会話、及び、ダンジョンの)ネタとして使い、現実のリアリティを高めるという手法も良い。私には引用元の分からない作品も多く、作者の知識に関心させられる。
以前、何度かこのブログで、「なろう」で現実を舞台にしたファンタジーはリアリティーを出すのが困難なため厳しい、というようなことを書いたが、その問題を上手く解消できている。
本当にリアリティーがあるのか、と言うと突っ込みどころはある(特に話の規模が大きくなってくると)けれど、過去の多くの有名SF作品たちと同程度のリアリティーはあると思う。また、ダンジョンを研究・検証していく手法はSFマインドをくすぐる。そして、その現実自体をネタとして使うことで、リアリティーを高めるという手法は珍しいし、上手く描かれていると思う。
現実とファンタジーのバランスで失敗しているんじゃ? と思われる部分もあるし、そこが気になる人ももちろんいると思うけど、そういうところも一つのネタにすることで解決している。パロディーではないんだけど、現実をパロディー化しているようなところがあり、この手法もSFっぽい気がした。
題名と、主人公がダンジョンを無双するという部分は「なろう」らしいものの、中身はSF的な要素が強く、こんな作品がランキング上位に上がってくるのは珍しい。
今年の「なろう」のランキングは、(
年始はひどいと思ったけど)ちょっと「なろう」らしからぬ良作が上がってくることがあって楽しいです。