一番最初に紹介したいのがこの小説。
http://ncode.syosetu.com/n1105o/
から読めます。
2015年九月現在、既に350万字を超え、なかなか手を出しにくい話かもしれない。
ですが!
非常におすすめです。
はじめは、主人公アルフィリースが東の街へ向かっていく途中、知り合ったシスターと共に魔王討伐に向かうことになって……と、正統派のファンタジーのように物語は始まる。
しかし、「魔王」がただの悪ではないこと、それも、伝説の英雄たちと魔王との関わりが明らかになり、物語が重層的になっていく。そのあたりから物語の吸引力が増し、ぐんぐん面白くなる。また、人は魔物とだけ争ってはいられない。国と国との争い、駆け引きも面白い。各組織は一枚岩じゃなく、スパイの存在を頭に入れながら行動する。国際情勢に気を使いつつも、自分の組織に利益が出るように陰謀を巡らせている。
と、こんな権謀術数を張り巡らせている彼らだが、一人一人の人間(や魔物やら)がとても人間らしいのがこの小説の大きな魅力。この小説では、一人一人の歴史や生き様がとても丁寧にかかれている(だからこそこんなに長い小説になっているのだけど)。一般的には悪人としか呼べないような人でも、「どうしてそうなったか」がしっかりと書かれるので、非常に説得力がある。敵でも味方でも、どんな登場人物にでも共感できるような物語に仕上がっていると思う。
物語としては、敵の首魁が「どうしてこんなことを始めたのか?」が一番の焦点になっていて、ある意味では世界全体の存立の謎を巡る壮大な話になっていく。
おすすめ度:非常におすすめ
文章力:はじめての小説ということだが、最初からしっかり書けている。ただ、連載スピードが早いせいで、若干誤字脱字が目立つことも。