(~86、最新話)
現在四半期ランキング五位の作品。作者の右薙光介さんには、「落ちこぼれ[☆1]魔法使いは、今日も無意識にチートを使う」などいくつかの書籍化作品があり、この作品も書籍化決定しているようです。
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主人公は規格外の能力を使いパーティーをサポートしていたが、パーティメンバーから理解されず、役立たずと思われていた。そんな境遇に耐えかねてパーティーから離脱したところ、元教え子に誘われてそのパーティーに入り、活躍する。
「追放~今更遅い」のテンプレをちょっと変え、離脱にしたもの。……だけど、そこにはそれほど力を入れていない印象。新パーティに入ってからの活躍に重点が置いてあり、自分が強いことをを理解できていない勘違い主人公の、チート冒険者(&ハーレムパーティ)もの、という側面が強い。
「追放~今更遅い」のテンプレとしての出来はイマイチ。「離脱」への変更は失敗でしょう。
このテンプレは、自分の力に気付いてもらえなかった主人公が追放され、追放した後その力に気付いてももう遅い、という展開ですね。それを自分から離脱したのでは、なんで主人公は力をアピールしなかったの? となってしまう。
それに、追放されたから元のパーティーに対して「ざまぁみろ」と思えるわけで、自らから離脱したのだと「ざまぁ」要素も半減してしまう。
実際のストーリーでも、このテンプレを回収する部分はやや唐突な感じがあり、導入としてテンプレを(ちょっと変更して)使ってみたものの、ちぐはぐになっていると感じた。
ただ、冒険部分は悪くない。
「追放~今更遅い」のテンプレものは、テンプレを抜けると出来が落ちる作品が多いけれど、この作品は違いました。テンプレ部分より冒険部分の方に力が入っています。
ダンジョンの中身が凝っており、じっくり調査・探索していく様子が面白い。上手く決着がつくかは分からないけれど、第二部に入ってからのホラーっぽい雰囲気もなかなか良いです。
題名のようなテンプレを期待して読むとイマイチだけど、冒険者ファンタジーものとしてはそこそこの出来かと。
なお、ダンジョンの映像を配信するという「
ライブダンジョン」のような要素がありますが、あまり生かせてないです。「ライブダンジョン」は上手いんだな、と改めて感じてしまった。