(~81、最新話まで。第一部完結済で、番外編を連載中)
現在四半期ランキング五位の作品。
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主人公は、婚約者であった王子から突然「真実の愛を見つけたんだ」と婚約破棄された。だが、静養先で隣国の王子と出会い、求婚される。その後、父が捕まり、自国が陰謀に巻き込まれていたことを知り、解決のため国へ戻る。
今、「小説家になろう」では「追放~今更もう遅い」という題名、ストーリーが流行りですが、その追放を婚約破棄に置き換えた感じですね。婚約破棄も、結婚からの追放という意味では追放の一種……と強引に言えなくもないので、上手く人気のテンプレを組み合わせた感じですね。
ただ、今「なろう」で「婚約破棄 もう遅い」で検索したところ、37件でした。まだそこまで書いている人はいない模様。
「婚約破棄」は「なろう」で人気のジャンルですが、その後の展開は結構バリエーションがあると思います。恋愛を諦め自立して仕事に生きる話もあれば、別の恋を見つける話もある。
ですが、「今更遅い」というざまぁ展開に繋げるためには、もっと良い相手を見つけるというストーリーにするのが自然でしょう。それも、婚約破棄された相手を上回る「真実の愛」であればなお良い。
そんな感じで、どこまで作者が計算して書いたかは分からないですが、婚約破棄ものを「追放~今更遅い」のテンプレに沿うように構成したような内容になっています。
基本的にテンプレ作品で、あまりオリジナリティはなく、各シーンを短く描いている作品ですが、その割にティテールもしっかりしている印象。主人公が新しい恋に落ちていく様子はなかなか上手いし、後半の政治シーンも、陰謀の中身をきちんと描いています。
そして、主人公が復讐(復讐しようとして自国に戻ったわけではないですが)を果たしたところで、すんなり完結としたのも上手い。テンプレ内容を書き切ったところですんなり終わるのは良いと思います。
「第一部」完結と書いており、多少伏線も残ってますが、個人的にはここですっきり終わらせるのが良いと思います。
ただ、後半の政治部分には結構批判があるようですね。
主人公の新婚約者があまり活躍しないため恋愛要素が薄いのが一つ。大きな陰謀を知っていた割に、それに対する王の采配がすっきりしないのが一つ。
どちらも的を射た批判だと思うものの、ひどく失敗しているという気もしませんでした。後者については、賢い王という設定ならもっと上手くやらせるべきだと思いますが、そうではないのでまあ、という感じ。
前者は、確かに、新婚約者の活躍の場をもっと作りたかった気はするけれど、上手く作れなくても仕方ないかなぁ、という印象。
凄く出来がいいとは思わないものの、「婚約破棄」と「今更遅い」を組み合わせた作品の、基準といえるものでは、という気がします。