(~362、最新話。今後も読む予定)
こちらのコメントでリクエスト頂いた作品。作者の南野海風さんには、「
俺のメガネはたぶん世界征服できると思う。」という書籍化作品があるようです。
https://ncode.syosetu.com/n4660fn/
親が大金を出し、死んでしまった娘のために魂を呼び戻す術を使った。そのとき、元の魂ではなく、武を極めた英雄の魂が入り込んだ。それが主人公である。
主人公には、元は自分が誰だったかという記憶はないが、この身体を奪ってしまった手前せめて親孝行しようとし、両親の仕事である魔法映像を広める広告塔として自ら被写体となる。だが同時に、強い者と戦いたいという英雄としての望みも抑えられない。が、だんだんと、どうやら今の世界には自分より強い者はいないんじゃないかと分かってくる。
なんというか、評価の難しい作品。
最新話まで読むつもりはなかったのについ読んでしまい、その後しばらくどう評価しようか迷っていました。それくらい面白かったといえばそうなのですが、物語は淡々と進み、盛り上がるシーンや意外性などはあまりない。ストーリーが凄く面白いか、というとそういう感じではありません。
ストーリーの面白さ以上に「引き」が上手い作品だと思います。
たとえば、「――これは終わりではなく、始まりの合図であったことを。」(「14.反響の手紙」の最後)のように、後の展開を期待させる惹句が多く、上手い。題名である「狂乱令嬢ニア・リストン」もそうで、主人公がその戦闘力で何かするのだろうと予想させるものの、具体的に「狂乱」する描写はなかなか出てこない。
この後の展開はどうなるのだろう、と常に読者に思わせるような描き方・表現を使っている。
ストーリー自体は、序盤は魔法映像関連がメインで、徐々に、主人公の武に関する内容が出てくる。
序盤の魔法映像メインの話を読んでいた頃は、主人公が力を見せるようになると派手な描写も出てくるのかな、と思っていたが、そんなことはなかった。一貫して落ち着いた進行になっている。
元英雄の転生者であり、他に敵がないほど圧倒的な強さを持つ主人公は慌てることが少なく、その語り口も非常に落ち着いている。力はあっても、基本的な考え方は非常に穏やかで人道的だ。派手なことをしても、その落ち着きに変化はない。
そしてそもそも、主人公の戦闘シーンは描かれないことが多い。主人公は圧倒的に強いため、誰かと戦闘になっても勝つことが分かっている。そういう分かり切った部分はあえて省略してしまう。読者としては肩透かしを食ったようにも感じるのだが、それも、読んでいるとちょっと癖になるような描き方だと思う。
ストーリー展開自体の意外性はあまりない。魔法映像関連も、武に関することも、大体予想の範囲内で無理なく進んでいく。主人公が使う「氣」の設定はちょっとありきたりな気がしたし。
そのあたりに斬新さは感じないけれど、多くの登場人物を一人一人しっかり描き、少しずつ世界情勢や主人公の転生前の情報が分かってくるのは面白い。
そして、色々な伏線や、描写方法の工夫で、先を読み進めたくなる作品になっている。
1. ありがとうございました
リクエストにこたえていただきありがとうございました。
最新レビューの「特級探索師への覚醒」を読んでみようと思います。
ランキングでは出てこない過去の良作をひとつご紹介。
『連載版』異世界でダンジョンマスターになった私は、ガチャを回させています。
https://ncode.syosetu.com/n6647cy/
残念ながらエタってるのでレビューは不要ですが、構成や文章力は高いと思います。
それほど長くなく、キリのいいところまでは書いてあるので息抜きや気分転換用にいかがでしょうか?
私は奇をてらってバランスが崩れた違和感だらけの作品より王道寄りのキャラがしっかりした作品が好き
なので大外しはしてないはず…?