(~60、最新話。今後も読む予定)
現在四半期ランキング二位の作品。
https://ncode.syosetu.com/n8703hn/
十二歳までに〈神の恩恵〉と呼ばれる特殊能力が与えられるという「小説家になろう」のチートものっぽい設定だが、内容は正統派ファンタジーに近い。
主人公は「移動」に関する珍しい恩恵を持ち、弟は天才魔術師という、兄弟でチート持ちのような作品。
主人公は白髪白皙というまれな見た目に生まれたため、村で差別された。そのため、弓の師匠の山小屋に預けられ、努力して弓の能力を身に着けた。さらに、イノシシに襲われたときに「瞬間移動」の恩恵を得た。が、恩恵の検査の際には「移動」としか言われず、たいした能力でないと誤解される。その後、主人公に懐いている弟を検査すると、稀少な魔術使いだということが分かり、魔術学校に入学することになった。そこに、主人公も従者として付いていくことになる。
チートもの・学園物であり、主人公がハンターズギルドで狩りしてお金を稼ぐという描写があったりと、「なろう」らしい設定・描写を入れてはいるが、落ち着いた文章で語られ、正統派ファンタジーの趣がある。
主人公と弟の能力や信頼関係を中心に物語が展開するが、そもそもそこが面白い。仲が良く、お互い信頼しているのは確かなのだが、性格はあまり似ておらず、少なからず誤解もあったりする。そんな二人の関係性が面白い。
今のところ、他の登場人物についてはそこまで深く語られてはいないが、一人一人が生き生きと描写されている。人間だけでなく、魔術や小道具など全体的にディテールが細かく、丁寧に描写されているのが特徴。
このブログでレビューした作品の中だと、「
アルマーク ~北の剣、南の杖~」や「
魔術師クノンは見えている」あたりを思い起こさせる。どれも雰囲気は違うけれど、魔術学校での暮らしを丁寧に描いている作品です。
今挙げた二作同様、この作品も評価は「まあまあ」にしますが、これは、という展開があれば「オススメ」へ上げるつもりです。