(~123、最新話。以後も読む予定)
現在四半期ランキング四位の作品。
https://ncode.syosetu.com/n9407fu/
正統派ファンタジー作品。
北の傭兵という荒くれ者の中で暮らしていた主人公が、魔法学院に入学するという学園もの。
一番のテーマは文化や地位、価値観のギャップです。ファンタジーでも(もちろん、他のジャンルの小説でも)王道のテーマといっていいと思う。
主人公は育ちのため戦闘に関しては高い能力を持っているものの、現段階では魔法はあまり使えず、魔法学院の生徒としては優秀とはいえない(ただし、魔力が高いという設定はある)。貴族も多く暮らしている魔法学院においては落ちこぼれといっていいような主人公が、その戦闘力と、真っ当な態度によって差別を減らしたり、魔法学院を少しずつ変えていく。
こんな正統派の作品が「なろう」のランキングに上がってきたことに驚きました。
主人公の強さは「なろう」っぽいかな? とは思うものの、他にあまり受けるような要素はなく、安直な爽快感を得られる作品ではありません。
ただ、登場人物一人一人をよく描いており、学園ものとしてはかなり良い出来。
「なろう」を読んでいると、学園ものになった途端に面白くなくなる作品は多い。学園ものは意外と難しいんだな、と感じる人は多いと思います。
それに対して、この作品は、特殊な設定があるわけでもないのに、クラスメイトら登場人物をしっかり描くことで読ませる作品になっている。少なくない登場人物(それも使い捨てでない)をきちんと描いて、学園の雰囲気が伝わるようにするのは簡単なことではないと思います。
ただ、既に25万文字を超えているにもかかわらず、深入りした登場人物は一人、二人程度。謎や伏線もまだ全く明かされていない状態……という、いまだプロローグ部分のようなところなので、ちょっと今後不確定な部分も多いため、今のところ面白くなりそうではあるのですが、評価は「まあまあ」にしています。
とはいえ、こういう風にゆったり書けるというのはネット小説の良さですよね。書籍ではどうしても一冊一冊で盛り上げる部分を作らなくてはいけないけれど、ネット小説だと丁寧に自分のペースで物語を積み重ねていくことができる。
現在、連載はややシリアス展開で、新たな謎が提起されたところです。
その謎が明かされるのはまだ先かな、という気がしますが、これが面白い展開を呼び、盛り上がれば「おすすめ」に変更する予定。