(~10、完結済)
現在四半期ランキング五位の作品。完結済みの短編です。
https://ncode.syosetu.com/n2416ia/
お金のために娼館に入ろうとしていた主人公が、オールステット家の使用人に「どうせなら我が家の主人のために死んでくれませんか」と声をかけられ、呪われたオールステットの屋敷で妻となる。オールステット家のかつての女主人は夫の浮気を許せず、三代にわたってオールステット家の男の愛した女は死ぬという呪いをかけた。ただ、その呪いは後妻には作用しないようなので、主人公を犠牲にして子孫を残そうと使用人が企んだのだ。夫婦になったものの、オールステット家主人である夫は、妻を死なせないよう愛さないよう心がける。が、女性に免疫がないためつい妻の方を見てしまう。
設定が面白く、文章も良い。
序盤、主人公が嫁ぐ流れと、登場する夫のキャラクターの見せ方がとても上手い。シリアスな展開ではあるのだが、使用人と主人の掛け合いがコミカルで面白く、主人公の冷静な対応と対照的なのも笑いを誘う。その後の書きぶりも達者。展開に意外性はないが面白く読めた。
ただ、種明かし部分はちょっとありきたりで、間が抜けている気がして残念だった。こういう短編作品なら意外性が欲しいとは思わないし、結末の付け方も良かったと思うのだけど、この部分は今一つ。この種明かしにするとしても、なぜそれが見つかっていなかったかという理由をもっと伏線を張るべきだったと思う。
とはいえ、全体として見たら出来が良く完成度の高い作品でした。