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今は落ちてしまいましたが、六月ごろ四半期ランキング五位まで上がった作品。
https://ncode.syosetu.com/n1219gv/
主人公はゲームの世界へ転生したが、ゲームの主人公である勇者ではなく、ゲーム中には登場しない貴族の子息だった。主人公の覚えているゲームのストーリーそのままだと悲劇的なことになってしまう。それを変えるため、ゲームの知識や、現代日本人としての知識を用いて状況を変えていく。
ゲームへの転生、いわゆる「知識チート」もの。
設定自体は珍しいものではない。ただ、作者が歴史好きなためだろう、戦争の設定が細かく、兵站などを詳しく語るので歴史小説的な面白さがある。主人公が用いる戦術も、現実の戦争を題材にしたりして、説得力が強い。
戦術以外での「知識チート」もなかなか面白い。ちょっと他の転生小説では見ないような知識を用いるし、その説明も細かい。下調べなどをしっかりしている印象。
ただ、ゲームの知識は、「初陣」の章でかなり歴史が変わってしまうため、それ以降あまり効いてはいない気もする。それでも面白く書けているのだけれど、ゲーム転生小説としては弱点か。
また、現実の様々な制度などを題材にし、貴族制度などを設定してあり、人間関係なども細かい。設定を語っている分量がそこそこ多く、そこがこの小説の良いところなのだけれど、そのせいで速く読むには向かないという面もある。
とはいえ、このジャンルのものとしてはかなり良い出来だと思います。
続きを読みたい気持ちはあるのだけれど、他に溜まっている小説があるのでここまででレビューしました。