(~128、最新話。以後も読む予定)
コメントでおすすめしてもらった作品。
https://ncode.syosetu.com/n1851hl/
近接戦闘に非常に強く「やられたからやり返す」がモットーのファルコナー家へ生まれた主人公。生まれた頃から自意識があり、異世界転生したことは気付いていたが、あるとき、一度クリアしたゲームの世界であることに気付く。ただ、元のゲームでモブだったこともあり、積極的にストーリーに介入はしないができれば良い未来にしたい……くらいの気持ちで動き始める。しかし、主人公がファルコナー家という特殊な一家の色に染まっていたため、元のゲームでは死亡したはずの聖女を助けたりと、無自覚にストーリーに介入してしまう。
ゲームへの転生もの。
序盤は、主人公が自身(ファルコナー家)の特殊性に気付かず、その力でもってゲームのストーリーを変えていく、という勘違いもの要素が強い。チート系の勘違いものに分類できるだろうが、主人公の行動の突飛さのおかげか面白く読める。
ただ、この世界では、ゲームのストーリーと似た託宣がある。そして、主人公には他の人には見えない黒いマナが見え、それが「託宣の神子」というゲームにおける主人公を害そうとするものに対して見えることに気付くと、ストーリーに関わっていかざるをえなくなる。そして、その託宣通りにしたいものや、託宣をくつがえしたいもの、などの派閥に分かれ、戦争状態になっていく。
こうなってからは、戦争もの、メタフィクションものという要素が強い。
主人公にはこの世界をどうかしたいという意志はそれほどないが、他に様々な派閥があり、また、派閥の中でも個別の意志を持って行動するものがいるのが面白い。また、主人公以外にも転生者がいるらしいことが仄めかされ、託宣をどう捉えるべきかも揺れ動く。
個性のある登場人物が多く、かなり雑多な印象なのだが、託宣・ゲームという目安があり、その結末へとなだれ込んでいっていると感じられるのが良い。現在、一ヶ月以上連載を中断しているようだが、上手く結末へもっていって欲しいところ。
ただし、メタフィクション要素は面白いのだが、それほど上手くいっていない気もする。序盤は地の文で、「元のゲームではこうだった」とゲームとこの世界の違いが語られることが多く、読者もその差を理解することができた。ただ、途中からそういう語りが減り、それでいながらメタな視点を持った登場人物が増えたため、結局のところ現在どういう状態なのか、どんな差があり、どういうところへ行きつきそうなのか、というのが分かりにくくなっていると思う。
この辺を上手く処理しないと、納得できる結末にはならないと思うので、今後の展開はやや不安。メタ要素はあまり複雑にせず、「
無職転生」くらい分かりやすくした方が良いのかな、とも思ってしまう。