(~70、最新話。今後も読む予定)
現在は落ちてしまいましたが、先月、四半期ランキング三位までいった作品。作者の活動報告通り、今日から更新再開しました。
https://ncode.syosetu.com/n3511hb/
主人公は優秀な少年だったが、十五歳のときに魔力がないと分かる。婚約者との婚約は破棄され、騎士とはなったものの、最大級の魔力を持っていた婚約者の従卒として仕え、周囲から蔑まれる。しかし主人公は諦めず、評価されないと分かっても優れた戦略を立てて貢献する。
追放もののテンプレのような始まり方だが、「実は強かった」などということはなく、ハードな展開が続く。主人公自身が、魔力がない劣った存在であるということを受け入れ、それでも最善を尽くそうと努力する姿勢が印象的。
そのように、人間の価値観を受け入れていた主人公がそれを疑い出すようになる、というのが話のテーマになっていく。魔族は滅ぼすべきものとされていたがそれは正しかったのか。あえて邪悪に人間を描くことで、そのいびつさが浮き彫りになる。風刺的にも読める内容になっている。
シンプルだが深いテーマと、重厚なストーリーが楽しめる。
ただ、主人公の周囲の人物の感情の動きがちょっと唐突に感じたりと、ストーリー展開のためやや無理にキャラクターを動かしているように思えた箇所はあった。シーンとシーンの間に年単位の時間経過があることも多く、主人公らの変化・感情の動きを丹念に追えるという作りにはなっていない。
また、今後もっと描かれるとは思うのだけど、人間と魔族との関係に関する情報が不足していると思う。言葉が通じるにもかかわらずなぜ対立するようになったのか。奴隷制度があるようだが、どの程度浸透しているのか。もっとその歴史的経緯や伝承などをもっと語るべきだったと思う。
気になる点はあったものの、ストーリー自体は好みでした。第三部が楽しみです。