(~42、最新話。完結済)
現在月間ランキング四位、中村颯希さんの新作。前作「
ふつつかな悪女ではございますが」に続いて中華系の作品。
https://ncode.syosetu.com/n6756gs/
冤罪により後宮を追放された主人公。貧民街でたくましく生きていたが、強制収容に巻き込まれ、後宮へと舞い戻ってしまう。追放された者が再び後宮に入って良いはずはない。罪人の焼き印を見られたら処刑されてしまうため逃げ出そうとするが、意に反して、貧民街の生活で絶世の美女に変貌していた彼女は上級妃候補となってしまう。
心身ともにたくましい主人公が、困難な状況を変えていく……という展開はいつもの中村颯希さん。もちろん文章は上手いし、読ませる内容。ただ、違いもあって、
・(入れ替わり等の)ファンタジー的な設定がない。主人公はたくましいけれど、今作は現実的な範囲に留まっている。
・堕胎などを扱っており、結構シリアスな内容。
といった辺りは違うところ。
「なろう」っぽさを抑え目にして、一般文芸に近くしたかったのかな? という気もする。書ける方だし、「なろう」の枠を超えていってくれたら嬉しい。
ただ、今作に限っていうなら、ちょっと裏目に出ているかな、と。
能力は現実的な範囲にしているとはいえ、主人公の造形はいつもの中村颯希さんと同じドタバタポジティブな感じなので、シリアスな設定とはちょっと合っていない印象。
もちろん、全体的にはコメディタッチだけど、シリアスな世界を描く……という内容で成功している作品はたくさんある。が、この作品では主人公の周囲だけがコメディになっている気がして違和感がありました。