(~60、最新話。完結済)
現在四半期ランキング一位の作品。「
手札が多めのビクトリア」の守雨さんの作品。
https://ncode.syosetu.com/n0264hi/
主人公の公爵令嬢は、突然、戦争の賠償金として戦勝国に嫁ぐことになる。だが、主人公は嫁ぎ先でも望まれていなかったため居場所を失い、自国に帰るわけにもいかない。そこで、その国で、商売をして地位を築いていく。
完成度の高い歴史小説のような味わいの作品。「手札が多めのビクトリア」でも一歩引いたような視点で書いている部分があったが、こちらはさらにそれが目立つ。客観的ともいえるが、感情移入しにくいという難点もあると思う。
主人公がどのように商売を成功させ、この国と関わっていったかを、重要なエピソードを切り抜いて描いている。筆致は丁寧だが意外性はあまりない。また、その商売に関しても、「地方の知られていないものを紹介して売る」ということが多くややワンパターンに見えた。
まとまりが良く穴の少ない小説ではあると思うが、作者の視点が冷めている気がして個人的にはちょっと苦手だった。あと、登場人物の善人・悪人が固定されている感じなのも今一つか。
悪い出来とは思わないけれど、前作「手札が多めのビクトリア」の方が作者の個性が出ている気がして好きでした。