(~173、最新話。今後も読む予定)
現在四半期ランキング一位の作品。
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領主である主人公は、平和に領地を治めていたのだが、ある日突然軍隊を送り込まれて滅びてしまう。だが、主人公は滅亡の三年前の世界で目を覚ました。そして、いわゆる「死に戻り」ができるようになったことを自覚。その能力を生かし、なぜ自分の領地が攻められたのか、その背後関係を調べ、自分の領地を滅ぼさない未来を目指す。
内政+「死に戻り」の組み合わせ、という言い方でいいのかな。
当初、なんで自分の領地が攻められたのか全く理由が分からなかった主人公だが、攻め込まれないために他の侯爵と関係を同盟を結ぼうとしたり、王家と関係を結ぼうとしたりする。そのたびに殺されることで、他の侯爵たちや王家が何を考えているかが分かってくる。ミステリー仕立てになっている。
だんだんと裏の関係が分かっていくのは面白い。「死に戻り」もしくは「時間遡行」ものでは、「実はこうだった」と明らかになっていくところがポイントだと思うが、多くの登場人物間にあるなかなか複雑な関係をしっかり描いており、上手くできていると思う。
問題は、「死に戻り」が無制限に使えてしまう点か。
死に戻る制限などがなさそうなため、主人公の命が軽くなってしまっている。自殺することも多い。そのため、ゲームでセーブロードを繰り返しているような読み心地になっているのは今一つだと思う。ここはもう一つ、何か工夫が欲しかった気もする。
というわけで、悪くはないけれど、「おすすめ」にする程ではないかな……と思い、途中でやめようか迷っていた。が、公式のレビューを見ると、この後に盛り上がる部分がある、とあったのでそこまでは読んでみようと思って読み進めた。
そして、「真相解明編」と名付けられた第五章。
ここは本当に面白かった。様々な伏線を回収しつつ、かつ、驚きもある展開で、「死に戻り」という設定を有効に活用したものになっていた。
ただ、そこは面白かったのだけど、第六章以降もその盛り上がりがずっと続いているか、というと若干微妙なところで。面白いことは面白いのだけど、やはり、「死に戻りが無制限に使えてしまう」という欠点が足を引っ張っている気がする。
だから、全体としての印象は「まあまあ」なのだけど、第五章(とその直後)あたりは「おすすめ」だったので、良い方に合わせて評価は「おすすめ」にしました。
ところで、「なろう」で「死に戻り」というとやはり「
Re:ゼロ」に触れておくべきだろうか。
「Re:ゼロ」と比べて、もっとも違うのはその語り口だろう。
この小説には「Re:ゼロ」の主人公のあの異常なほどの熱気はない。基本的にはゲームのように淡々と死に戻る。私にはちょっと物足りなく感じたが、「Re:ゼロ」のあの語り口が苦手な人もいると思う。そういう人にもこちらの小説はおすすめできる。
「死に戻り」の活用という意味では、こちらの方が整理して書かれてある気もする。上に書いた通りだけど、背後関係が少しずつ明らかになっていくのは心地よい。
まあただ、「Re:ゼロ」でも真相が明かされる部分はあるけれど、アクション(戦闘)で終わることが多いため、ミステリー的にすっきり解決、という風に書くのは難しいから比較するのが悪いのかも。
内政ものとアクションものでは、「死に戻り」の描き方も変わってくる、ということか。
1. 無題
特に文末に違和感のある文章が多く、(三人称の地の文で『〜だが。』で終わる・『謁見の間を退室し。』など連用形中止方が接続せずに句点がつく……等)
そのあたり気になってしまうのはなろう小説に求めすぎているのでしょうか。
ここまで書いておいて、大筋のお話の面白さ、構成力、文章の美しさ、諸々取り揃えた作品作者はすぐ商業だろうなと自己解決してしまいました。笑