(~47、完結済)
現在は落ちてしまいましたが、一ヶ月前くらいに四半期ランキング五位に入っていた作品。
https://ncode.syosetu.com/n0760ho/
主人公は侯爵家の令嬢として生まれたが、金銭的な都合で田舎で自由に育てられ、狩人としても優秀な腕前となっていた。13歳のとき、貴族のお披露目会に行った際、案内してもらった騎士に見初められ、16歳で結婚する。だが、その後、夫が皇帝陛下の子だということが発覚、皇太子が病で死にそうなため、皇室へ入る。
礼儀作法など分からない野蛮な主人公がお姫様になる、という少女漫画でよく見かけるタイプの作品。ありあまる体力で面倒事を解決していく、というのもこのタイプではありがち。
ただ、文章も内容もしっかりしており、展開自体はありがちではあるけれど、結婚までのエピソードは面白いし、細部まで配慮した内容になっていると思う。この世界の土地柄や、人々の様子が分かるエピソードを一つ一つ積み重ねており面白い。主人公の心理や周囲の状況を誤魔化しなく書き切っており、読み応えがある作品になっている。
意外性があまりないのは仕方ないとしても、物語の起伏はもう少し欲しいな、とは思うけれど、完成度は高い作品。
ただ、一章後半の他者視点(セルミアーネ視点)は良くないと思う。ほぼ主人公視点と同じ内容を別視点で繰り返しているだけで、新規の内容が少なく退屈なものになってしまっている。繰り返しになる内容は飛ばすなどして、この1/3程度の分量に収めるべきだったのでは。この作者さんの、しっかり描写するという性質が裏目に出てしまったと思う。
(なお、二章以降の他者視点は、本編を補完する内容になっていて悪くないです)
これからこの物語を読む方には、この部分(一章十二話~二十話)は一旦飛ばすことをおすすめします。最後まで読み終えて、この物語を気に入ったなら読み直すという方が良いと思います。